2022年7月20日、自閉症支援の業界に激震が起こりました。
この事件の直後に、理事長の長瀬氏が施設で行っていた行為が「応用行動分析に基づいているのか、別物なのか」と言う議論が起こりました。
報道やSNSでは、
- 長瀬氏が少年を施設に連れて行った時の行為(直接の逮捕容疑)と
- 施設内で療育目的で行われていた行為
の2つが混ざった内容が見られますが、ここでは後者の施設内で療育目的で行われていた行為だけを対象にします。
長瀬氏は、自身の施設のホームページで、「この手法はABA(応用行動分析)に基づいている」と謳っていました。一方で、日本行動分析学会の専門家の方々は、「その手法は長瀬氏独自の手法であって、応用行動分析ではない」と言っています。
まあ、立場の違いによって、主義・主張はそれぞれあると思います。
ただ、途中を省略して結論の主張だけをされても、違和感が残るのでは無いでしょうか?
何事もそうなんですが、「基づいている」と主張するのは比較的に簡単です。しかし、「基づいていない」と主張するにはそれなりの論理が必要です。
今回は、「その手法は応用行動分析とは別物だ」と主張するための条件を考えてみたいと思います。ただし、この記事では、その白黒の結論は含んでいません。(この記事で私が使用したスライド資料はPDFでダウンロードできるようにしておきます。)
“基づいていない”と言うために必要な条件
①の対象手法の構成要素の明確化については、以前の記事で概要を説明しました。そちらをお読みください。(行動障害を100時間で解消した手法とは?)
②の応用行動分析の範囲の明確化について、この後概要を書いていきます。
③の立場に関しては、私にはわかりません。(このページには、立場に触れた部分がありません。)
応用行動分析の予備知識
応用行動分析の範囲
ここからは、一般的な応用行動分析の概要の中から、長瀬氏独自の手法との違いが目立つ部分を中心に説明します。また、他の方(特に専門家の方)が解説したら、別の解説になることもあります。
最後に
ここまでで、
- 対象手法の構成要素の明確化
- 応用行動分析の範囲の明確化
の概要まではできたと思います。
結局白黒をハッキリさせようとすると、『③応用行動分析は、範囲外の要素を含んだ手法を「基づいていない」と言う立場の体系であることの明確化』が残ってしまいました。
スライド資料はPDFでダウンロードできるようにしておきました。分からない部分がありましたら、コメント欄でご質問ください。
分析が間違っているとか、別の分析がある等のご意見もコメント欄にお願いします。
お知らせ
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