心の理論 / サリーとアン課題 / 他者理解

心の理論 自閉症スペクトラム

「心の理論」というのを聞いたことがありますか?

自閉症の入門書に登場することもありますし、自閉症関連のセミナーでもよく解説されます。まあ、最近のセミナーでは理論よりも実際にどう支援するかの方がみなさん興味があるので、「心の理論」の説明はあまりされなくなりました。

自閉症の子どもの特性を知る上では、とても象徴的なので説明しますね。

心の理論。サリーとアン課題。

いくつかのバリエーションがあるのですが、その中で一番有名なのが「サリーとアン課題」です。次の図を見ながら読んで下さい。

  1. サリーとアンがお部屋にいます。
  2. サリーは大好きなボールをカゴの中に入れました。
  3. サリーはお部屋から出て行きました。
  4. アンはカゴの中のボールを箱の中に移しました。
  5. サリーが戻ってきました。

という物語を子どもに聞かせます。

ここで子どもに質問を出します。引っ掛けではないので、あなたも答えてみて下さい。

  • 質問1: ボールはどこにありますか? (カゴの中ですか、箱の中ですか?)
  • 質問2: ボールで遊びたいサリーは、どこを探しますか? (カゴの中ですか、箱の中ですか?)

質問1の答えは、「箱の中」ですね。これは、子どもが物語を正しく理解したかを確認するための質問です。本当の質問は2番なんです。質問2の答えは、「カゴの中」ですね。

ところが自閉症の子どもは、質問2に「箱の中」と答える場合が多いのです。ボールは箱の中にあるのだから、サリーは箱の中を探す、、、とね。

子どもが、サリーの心の中を理解していると、「カゴの中」を探すと答えられます。この様に他者を理解する能力のことを「心の理論」と呼ばれるのです。

普通の子どもの場合、3歳児はほとんどの子が間違えて、4歳ぐらいから正解が増えてくると言われています。「心の理論」は3歳ぐらいで芽生えると言われてきましたが、最近の研究では1歳半ぐらいから芽生えているのだそうです。

話を自閉症の子どもに移しましょう。自閉症の子どもは「心の理論」が発達していません。他者理解が弱いのです。だから、子どもはお母さんの心の中というか頭の中を理解していないのです。お母さんは、「今はこれをするのよ。分かってるよね。」と思っているでしょう、きっと。お母さんは当然のようにそう思って、子どもに接します。子どもは分かっていないので、トラブルが発生するわけですね。

お母さんが言葉で説明してあげても、自閉症の子どもはなかなか分かってくれませんね。
でも、お母さんが思っていること、すなわち「子どもに、これこれこれをやってね!」という思いは、子どもに見せて伝えることができますよ。見せると、子どもも正しく理解してくれます。

家庭の中で、お母さんの思いをスムースに伝えて、子どもが混乱なく生活できる様にする支援が、スケジュール表です。

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古林紀哉

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