「お支度ボード」を自閉症の子供に使ってはいけない3つの理由

“お支度ボード” を知っていますか?

お支度ボードというのは、幼稚園の子供向けのツールです。

2016年の初め頃から、インターネットのブログや記事で流行り始めました。お母さんが手作りをします。

インターネットで「お支度ボード」を画像検索すると、たくさん出てきますね。お母さんたち、いろんな工夫をしています。

お支度ボード

お支度ボードを使うと、子供の朝のバタバタが解消されるんですね。
子供は自分で朝のお支度を楽しむようになります。
お母さんが一々指示することもなくなります。

子供にもお母さんにも、とっても強い見方ですね。

最近では、中小の文具メーカーからお支度ボードが市販されるようになりました。

アスカ おしたくボード お子様のスケジュール管理 WB073
アスカ「おしたくボード お子様のスケジュール管理」(製品コード: WB073)

こどもの準備ボード ME203 クツワ METETE
クツワ「METETE こどもの準備ボード」(製品コード: ME203)

既に生産中止で廃盤になった製品もあるようですが、Amazonや量販店のネット販売で、1,500円前後で販売されています。

手作りの苦手なお母さんにとっては、手っ取り早くていいですね。

しかし、お支度ボードを自閉症の子供に使ってはいけません。

その理由は

  1. 自閉症の子供は、お支度ボードの内容を上手く理解できません。
  2. 自閉症の子供は、絵カードを上手く裏返せません。
  3. 他の視覚的な支援の効果を台なしにします。

お支度ボードの基本的な使い方とは?

お支度ボードの一般的な作りは、家庭用ホワイトボードと、ボードに貼れる絵カードです。絵カードは4cm程度の大きさのマグネットシートで出来ていて、裏と表にイラストや文字が入っています。絵カードの表は、「トイレ」、「おきがえ」、「かおをあらう」、「はみがき」、「ハンカチ」など子供がやることの内容。裏は「よくできました」と書いてあります。

使い方は、

  1. まず、ホワイトボードに絵カードを表にして貼っておきます。
  2. あとは、絵カードに書かれたお支度が1つ済むと子供が絵カードを裏返します。
  3. すると「よくできました」が出てきます。

ですね。

子供は楽しみながらできます。お母さんは、一々指示を出す必要がありません。

やることが見てわかるので、健常な子供だったら、もう効果てき面です。

でも、自閉症の子どもに使うと、お支度ボードは期待を裏切ります。

1) 自閉症の子供は、お支度ボードの内容を上手く理解できません。

お支度ボードでは、まだ済んでいないお支度の絵カードが見えてますよね。どれでもいいから一つお支度を済ませるといいのです。健常な子供はそれが、当たり前のように出来ます。

自閉症の子供は、2つのことを同時に考えるのが苦手ですよね。すると、幾つもの絵カードを見た時に、どれやればいいのかで頭の中が混乱するのです。混乱すると子どもの動きはストップします。

自閉症の子供には、次のお支度はコレと、分かりやすく見せなければなりません。

分かりやすく見せるためには、お支度を上から下に一直線に順番に並べて貼ってください。そして、「一番上のお支度をやろうね」と教えてください。すると、次にやることは一つに決まっているので、自閉症の子どもも混乱なくお支度が一つ進みます。

2) 自閉症の子供は、絵カードを上手く裏返せません。

お支度ボードでは、一つのお支度が終わると、その絵カードを裏返します。裏返すと、お支度を一つ済ませた達成感が出ますよね。まだやってないお支度をわかりやすくするためにも、終わったお支度を見えなくするのは重要なことです。

あなたは気付いていますか?

自閉症の子どもは手先が不器用です。」

自閉症の子どもの療育に携わっている人なら、このことは常識的に知っています。

お支度ボードの絵カードは、マグネットシートですよね。マグネットシートはボードにピッタリくっつきます。隙間がないので、大人でも剥がすときにストレスを感じます。自閉症の子供はマグネットシートをうまく剥がすことが出来ません

一般的なお支度ボードと同じように、私がモデルを作ってみました。

マグネットシート式 絵カード

もしも、絵カードが裏返せないとどんなことが起こるでしょうか?

「さっき、これは終わったよね」と頭の中を使わないと次にすることが決まりません。そうです、ボードを見ただけでは次にすることがわからないのです。「一番上のお支度を、もう一回やるの?」とか混乱しがちです。混乱すると子どもの動きはストップします。

なので、自閉症の子どもには、マジックテープで作った絵カードが使うのが普通です。マジックテープ式の絵カードは剥がしやすいのが特徴です。裏向けには貼れない絵カードなので、ボードから外して見えなくする使い方をします。

マジックテープ式 絵カード

3) 他の視覚的な支援の効果を台なしにします。

もしも、自閉症の子どもにお支度ボードを使わせると、おそらく2〜3日も経つと使わなくなってしまうでしょう。そして、お支度ボードは単なる掲示物か置き物になってしまいます。

内容の変わらない物がいつも目に入っていると、人間の脳はそれ自体を無視するようになっていきます。

使わないお支度ボードに似た様な物、すなわちスケジュール表ですね。スケジュール表の効果を下げてしまうのです。

自閉症のお子さんにとって、この先ずっと、スケジュール表や視覚支援はとても重要な支援になっていきます。

スケジュール表や視覚支援の効果が下がることは、お子さんにとって大損害です。それよりもお母さんの方が、「お支度ボードは役に立たなかったので、スケジュール表も役に立たないに違いない」と誤解してしまうことの方が、損害が大きいと思います。

だから、自閉症の子供に安易にお支度ボードを使うのはやめましょう。役に立っていれば、もちろん使い続けていんですよ。もしも、役立っていなかったら、お支度ボードはさっさと見えなくしてください。

  1. 自閉症の子供は、お支度ボードの内容を上手く理解できません。
  2. 自閉症の子供は、絵カードを上手く裏返せません。
  3. 他の視覚的な支援の効果を台なしにします。

1番目と2番目は効果が出ない理由ですが、3番目が使ってはいけない理由でした。

自閉症の子ども向けのスケジュール表

自閉症の子供の療育の世界では、40年も前から、スケジュール表が有効なことが知られています。日本でも、20年前には、スケジュール表が使われ始めました。10年前には、自閉症の子供のお母さんたちは知るようになりました。

やり方は簡単に見えます。

  1. やることを順番に、上から下に貼る。
  2. 一番上の絵カードの内容をやらせて、終わったら自分でその絵カードを外す。

自閉症支援スケジュール 分かりやすい朝のお支度

こうすると、子どものするお支度は、いつも一目瞭然になります。そして子どもは混乱なく、行動してくれます。

しかし1番のネックは、子どもでも簡単に使える絵カードの準備ではないでしょうか。準備さえ出来れば、スケジュール表は子供にもお母さんにも力強い味方なんです。

工作が苦手な方は、コバリテ視覚支援スタートキットをご検討ください。

コメント

  1. […] ※ちなみに自閉症のお子さんの場合、マグネットで作るのは逆効果になるとの情報があります。 関連記事↓ 「お支度ボード」を自閉症の子供に使ってはいけない3つの理由 […]

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