自閉症の入門書や入門セミナーなどでは、最初の部分で、自閉症の子どもの特徴が解説されます。
定番の自閉症の子どもの特徴は、
- 社会性や対人関係の問題
- コミュニケーションの問題
- 想像力の問題と活動の偏り
の3つがまず出てきます。
そして、それ以外の特徴として、
- 人の気持ちを読むことができない(心の理論の障害)。
- 代名詞や曖昧な言葉がわからない。
- 突然の変化が苦手である。
- 急にパニック(癇癪、泣きわめき、暴れ、自傷行動、他害行動など)になる。
- 感覚機能がアンバランスで、とても苦手な刺激もあれば、鈍感な部分もある。
- 規則的なこと、記憶的なこと、視覚的なことに特別な能力を発揮する。
が説明されることが多いようです。
なぜ、最初に特徴が説明されるのでしょうか?
それは、自閉症の子どもの特徴を理解して、より良い支援をするためですね。
しかし、特徴を理解すればより良い支援ができるのでしょうか?
実は、特徴にも特徴があります。特徴にも目的によって特徴が現れます。視点といったほうがいいかもしれません。もっとも普通の視点は、自閉症の子どもとそうで無い子ども(健常な子ども)を区別するための視点です。そのような特徴を羅列すると、もういっぱいでてきます。特徴がありすぎては訳がわからなので、医学的に自閉症を診断するという視点では、診断基準というものがあります。
DSM-5における診断基準(抜粋)
- 相互の対人的・情緒関係の欠如
- 対人的相互反応で非言語的コミュニケーションを用いることの欠如
- 人間関係を発展させ、維持し、理解することの欠如
別の視点としては、私やあなたが実感する自閉症の子どもの特徴です。
自閉症の子どもを持っている家族と、そうで無い家族では実感が違いますよね。だから実感する自閉症の子どもの特徴は人によってかなり違います。だいたいは、困ることが自閉症の子どもの特徴になります。癇癪やパニックになる、大声を出すことがある、オムツがなかなか取れない、などなど。
子どもが自閉症と診断されても、自閉症の子供に癇癪やパニックが多いと知っても、それだけでは、良い支援はできません。
自閉症の子どもに対しては、すでに良い支援方法があります。ただし、簡単ではありません。
極端なことを言うと、自閉症の子どもの特徴を知らなくても、良い支援方法を知っていれば、良い支援はできる訳です。しかし全く特徴を知らないでもいいかと言うと、そうでもありません。
良い支援を行うために、知っておいたほうが良い自閉症の子どもの特徴。そんな特徴は、自閉症の子供を区別するための特徴や、私たちが実感している特徴に比べると、数も少ないし、役にも立ちます。
自閉症支援を指導する人や、自閉症療育の先生ならば、数多くの自閉症の子どもの特徴を知っておくことは重要です。そんな人たちは、大学院レベルの学習量が必要です。
一般の家庭のお母さんやお父さんであれば、まずはともあれ、良い支援方法(療育方法)を知るのが重要になってきます。
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