自閉症の子どもの支援方法は、とても沢山あります。それらを大別すると3つのグループに分けることができます。
- ABA(応用行動分析)
- スケジュールと視覚支援
- 感覚統合
どの方法が一番効果があるのか?と考えるのは自然なことです。それぞれの療育方法の専門家は、自分の専門の療育方法を勧めます。わたし達も、子どもに合った支援方法、療育方法を選んでやろうということになります。
私の場合、それはABA(応用行動分析)でした。我が子に合った療育方法がABAだったったというよりも、私が得意な方法がABAだったというべきかもしれません。
私は、自閉症と向き合うようになって10年目で、二つのことがわかりました。
- 自閉症の子どもの支援には、ABA(応用行動分析)、スケジュールと視覚支援、感覚統合の3つの手法全てが必要である。
- それぞれの支援方法は、その効果がでる時期(子どもの年齢)が違う。
すなわち、療育では3つの手法全てが必要であるが、その支援割合は子どもの成長とともに変えていかなければならない、ということです。図は、各療育手法の支援割合の変化を年齢に沿ってイメージ的に表したものです。科学的な証跡があるわけではなく、私の実感による主張です。
こう思うようになってから、これまでの疑問の多くが解けてきました。
- ある専門は、ABAが良いと言い、他の専門家はスケジュールが良いと言う。同じ専門家でも勧める手法が変わってくることがある。すなわち、子どもの成長に伴い、手法の効果が変化するし、必要な手法の割合も変化すると言うことです。
- ABAの専門家は早期療育が重要だと言う。すなわち、療育の初期、概ね3歳ぐらいの時は、ABAが一番効果が出やすいと言うことです。
ここで一番気をつけないといけないことがあります。それは、子どもが6歳くらいになると、療育手法の主軸を「スケジュールと視覚支援」に移していかなければならない、と言うことです。ABAはこの先ずっと子どもが成人してからも必要な手法です。しかし、いつまでもABAだけにしがみ付いていると、年齢相応なスキルがなかなかつかず、問題な行動が増えていきます。
大雑把に言うと、
- ABAは、本人の単独スキルを養う訓練手法。
- スケジュールと視覚支援は、社会ルールを守らせる支援方法。
- 感覚統合は、外部刺激から本人を守る支援方法。
と言うことになります。
だから、子どもが何歳になっても、この3つの手法のどれ一つ欠かすことはできません。そして、子どもの成長とともに、各手法の効果の大きさと、必要な支援手法の割合は変化していきます。
この考え方は、とても重要です。
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