自閉症向けの絵カードの品質基準は変化している

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私は人一倍、google検索で絵カードや視覚支援を見ているので、検索結果に出てくる写真に写っている絵カードのイラストを見ると、半分ぐらいは、その出所が分かります。

  • この絵カードは、ここで買ったものだ。
  • あの絵カードは、あのサイトでダウンロードできるものだ。
  • あ、これはアメリカ製ね。
  • などなど。

そして、自閉症療育の本には、絵カードに用いるイラストの良し悪しが書かれていたりします。これまで、絵カードのイラストの品質に対して議論していたのは、アンディ・ボンディです。そう、PECSの考案者ですね。ま、PECS全体に比べれば、絵カードの品質はさほど大きな部分ではありませんけど。

自閉症のお子さん向けの絵カードの従来の品質基準は、2つでした。

  1. 実物に似ている
  2. 余分な情報が入っていない

例えば「ミニカー」

実物に似ている方が良いに従うと、最も良いのは、カードに本物のミニカーを括り付けたものです。実際、PECSではそんなカードから始めます。その次に良いのは、同じミニカーの写真。次はイラスト。デフォルメされたイラスト。になっていきます。

ここで写真は注意が必要です。ミニカーの被写体だけでなく、周りの背景も写真には映りますので、背景に余分な情報があると、認識率が悪くなってしまうのです。

イラストの品質基準にこだわる人はいません

実物に似ているという品質基準は、初めに見るときに求められる基準です。何度も同じイラストを使っていると、そのイラストの質が悪くても、ちゃんと認識できるようになります。だから、イラストの良し悪しはさほど気にする必要はなかったのです。

Googleがデジタルデバイドを作ってしまった。

誰も議論していませんが、次に現れた絵カードの品質基準は、イラストの入手の容易さです。

10年ほど前は、自閉症向け絵カードのイラストには定番がありました。絵カードを必要とするお母さんの間での口コミだったり、療育機関からもらった絵カードをみなさんでコピーしたりしていたので、地理的に近い人たちは同じイラストの絵カードを使う傾向がありました。

また、インターネットで絵カードのイラストを無料公開しているサイトも幾つかありました。

Googleでの画像検索が一般的になると、よりどりみどりです。Googleの検索窓に入手したい絵カードのキーワードを入れて、「画像」ボタンを押すと、欲しい絵カードのイラストがすぐに手に入ります。

Google検索が得意で、エクセルやワードも難なく使えて、ラミネートなどの工作が苦にならない、お母さんお父さんには、とても便利な環境でした。

そんな状況の中、自閉症向けの定番の絵カードイラストサイトは、埋もれていきます。保守されないサイトが多くなりました。リンク集も存在しますが、リンクが多数にのぼり、逆に迷ってしまいます。

ITが苦手な人には絵カードイラストが手に入りにくくなり、一方ITが得意な人には絵カードイラストが容易に手に入るようになったのです。

ルールが変わりました

最初に話したように、イラストとしての分かりやすさは、家庭内で使っていくならば、重要ではありません。

二番目に話したように、そこそこのイラストであれば、Google検索で簡単に手に入ります。

そして今、最もコスト(あるいは手間)がかかる部分は、イラストデータから、実際のカードにする作業になってしまいました。

ラミネートとマジックテープから脱却しなけれ、絵カード作りは家庭の大きな負担になり続けると思います。
お子様の成長と
ご家族のゆとりのために!

古林 紀哉