自閉症の子どものパニックの原因とパニックを解消する方法

自閉症の子どもを育てている家庭にとって、パニックや癇癪はとても深刻でとにかく何とかしたい問題です。3歳ぐらいなるとパニックが現れ始めます。このページでは、自閉症の子どものパニックの状況やパニックの原因を紐解いていきます。自閉症の子どものパニックを無くすのは一朝一夕にはいきません。でも順序立って子どもの支援をしていくと、パニックを無くすことは十分に可能です。

自閉症の子どものパニックの例

自閉症の子どもは突然、不安や怒りが爆発して、寄生を発したり、大声で泣きわめいたり、暴れまくったり、床にひっくり返ったり、何度も壁に激闘したり、手当たり次第物を投げまくったり、周りの人を叩いたりします。そんな興奮した状態は、パニックと言われたり癇癪(かんしゃく)と言われます。

パニックと問題行動と不適切行動

パニックによく似て、お母さんを困らせる子どもの行動は他にもあります。自分で自分の頭を叩いたり、自分の腕を噛んだり、自分から壁にぶつかりにいくような行動も起こすことがあります。これらは自傷と呼ばれます。

物を投げて壊したり、周りの人を噛んだり叩いたりすこともあります。これらは他害と呼ばれます。自傷や他害など、とにかく止めさせたい行動は問題行動と呼ばれます。

それ以外に自閉症の子どもは、お母さんが「もう、やめてよぉ!」と思うような行動も見られます。例えば、夜中にソファーでジャンプしまくる、長時間洗面所で水遊びをする、いつの間にか棚から物を引っ張り出して壊している・・・、などなど。そんな行動は不適切行動と呼ばれます。子どもの不適切行動をお母さんが注意したり叱ったりすると、子どもがパニックを起こしがちです。

パニックが起こりやすい状況

自閉症子どもは、こんな時によくパニックを起こします。

  • 好きなオモチャを誰かに取られた。
  • 自分の欲しい物があるんだけど、お母さんがそれに気づかない。
  • 自分の欲しい物があるんだけど、それをもらえない。
  • いつもと違うことが起きた。
  • 不快な音や声がしている。
  • 言われていることが理解できない。

従来言われているパニックの原因

多くの自閉症の書籍で、パニックの原因は次の3つだと解説されています。

1. 外部からの不快な刺激

  • 不快な音や声が聞こえる。
  • 目障りな物や人が見える。
  • 不快な感触がある。

2. 不安や戸惑い

  • 予期しないことが突然起こった。
  • スケジュールが変更になったが、予定や時間割が理解できない。
  • 今、何をしていいのかわからない。
  • 今やっているや起こっていることが、いつまで続くのかわからない。

3. コミュニケーションの障害

  • 何か欲しいものがある、何かして欲しいことがある、何か気づいて欲しいことがあるにもかかわらず、自分の要求や意思を伝えることができない。
  • 言われていることが理解できない。
  • 避けたいこと、やりたくない事があるのに、拒否の意思を伝えることができない。

どうして自閉症の子供はパニックになるのか?

パニックになる原因が上述の3つ:(1)外部からの不快な刺激、(2)不安や戸惑い、(3)コミュニケーションの障害、であるならば、そしてその原因を取り除くことができれば、パニックにならないと思えます。しかし、実際にはそう簡単にはパニックはなくならいようです。

参考:【従来法】自閉症の子どものパニックの原因とパニックを取り除く方法

もしも従来言われている通りなら、スケジュール表で予定を見せて、子どもには要求の方法と拒否の方法を教えれば、パニックはなくなることになります。

私は、自閉症の子どものパニックの原因は、周りからの要求レベルが高すぎることではないかと思っています。これはTEACCHの考え方に近いです。

例えば、お母さんは子どもが3歳ぐらいになったら、こうなるのが普通だよねと自然に思っています。この時間にお着替えをして、この時間にご飯を食べて、幼稚園に行って、お母さんの買い物についてきて・・・。子どもが6歳ぐらいになると、小学校に行って、帰ったらカバンを片付けて、おやつは3時まで待って、夕方はこの時間にご飯を食べて・・・。

仮に喋れなかったりコミュニケーションが苦手な自閉症の子どもでも、欲しいものがあるときは、お母さんの手を取って欲しいものの前にお母さんを連れて行ったりします。欲しいものを要求するサインは、子どもはお母さんに出しています。その要求もお母さんに「今は、その時間ないよ」と拒否されると、子どもは不安定になります。お母さんから「買い物について来てね」と言われても、行きたくないならば子どもは遊びを止めないとか出発の準備をしないという拒否のサインを出します。拒否のサインをお母さんが認めず、無理に連れて行こうとすると、子どもは不安定になります。子どもは、お母さんから「それは待ちなさい」とか「遊びをやめて一緒に外出しましょう」と要求されているのはわかっています。子どもはそれを拒否するサインも出しています。そのサインをお母さんが認めないので、子どもはパニックになるのではないでしょうか?

パニックにならないで済むようにする

自閉症の子どもは、お母さんからの要求を納得する力をまだ持っていないので、パニックという拒否反応を示さざるを得ないのだと思います。

一つの解決策として、お母さんから子どもへの要求レベルを下げることが考えられます。子どもが欲しいものは直ぐにあげるとか、やりたくないことはしないでもいいとか・・・。しかしそれは現実的ではありません。子どもの成長とともに、家族の一員としての子どもへの要求レベルは高くなっていきます。

順当な解決策として子どもには、家族と一緒の時間に〇〇をする、好きなものでも当たり前の時間まで待つ、少々嫌なことでもお母さんから言われたことは我慢してやる、そんな力を養ってあげる必要があるのではないでしょうか? そんな力が子どもに付けば、パニックが起こりやすい状況は自然になくなっていきます。

自閉症の子どもに「待てる力と我慢してする力を養う」方法は、次のページをお読みください。【現実法】パニックを解消する方法(自閉症の子どもに待てる力と我慢してする力を養う)

自閉症の子どもの支援方法にTEACCHがあります。TEACCHの支援をしっかりやっている家庭ではパニックがほとんど出ません。TEACCHの支援は幅が広く、パニックだけを無くすという考え方は持っていません。そこを私が無理やり「どの支援がパニック削減に効いているか」という観点で抜き出したのが、【現実法】パニックを解消する方法(自閉症の子どもに待てる力と我慢してする力を養う)です。

パニックを起こしてしまった時の対処

パニックが始まったら、おさまるまで見守るのが基本です。無理に抑え込んだり、過度に構うのは逆効果です。角のある家具や尖った物を本人から遠ざける、またはクッションを用意するなどして、危険がないようにし黙って見守るようにします。しばらくして静かになったら、「泣くのをやめて、偉いわね!」と優しく褒めてあげます。また、あらかじめ本人が落ち着ける場所を用意しておいて、パニックが始まったらその場所に連れて行ってあげることも有効です。

参考文献

[1] 「じょうずなつきあい方がわかる自閉症の本」、佐々木正美監修、主婦の友社刊行、2009年3月発行。

[2] 「自閉症スペクトラムへのABA入門-親と教師のためのガイド」 シーラ・リッチマン著、井上雅彦/奥田健次監訳、テーラー幸恵訳、東京書籍刊行、2015年3月発行。

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