自閉症のパニック・癇癪・困った行動の原因と対策

パニックと癇癪への対応

予測不能のパニック、突如として湧き上がる癇癪、夜を徹した遊びと昼間のうとうと、そして不規則な食事…自閉症の子どもと共に生活する家庭は、予想を超える困難と毎日向き合っています

パニックと癇癪の兆候:見落としがちな警告信号

子どもが突如としてパニックに陥ったり癇癪を起こしたりすると、親として非常に驚きと混乱を感じます。しかし、これらの反応は一般的に突発的なものではなく、事前の兆候があります。重要なのは、これらの事前のサインを見落としてしまい、その時の親御さんの行動(この記事の後半で詳細を説明します)が、実際にはパニックや癇癪の引き金になっていることを理解することです。

自閉症の子どもの特性:パニックと癇癪の源泉

子どもがパニックや癇癪を起こす背景には、自閉症の子どもの特定の特性が関与していることがあります。それは一体何でしょうか?

自閉症の子どもたちは、見通しを立てて行動をするのが苦手です。これは自閉症の共通の特性として、多くの入門書で解説されています。(自閉症の入門書をお探しの方は、オススメの入門書をご覧ください)

見通しを立てることが苦手なことから、自閉症の子どもたちはしばしば目先の好き嫌いで行動するか、またはその行動を拒否します。これがパニック癇癪を引き起こす原因となってしまうのです。

困った行動の原因:期待と行動の食い違い

親として、私たちが子どもに望む一般的な行動があります。例えば、「歯磨き」、「着替え」、「おもちゃの片付け」などの日常的な行動です。しかし、これらの行動は、子どもにとっては一見無駄なことかもしれません。彼らは、目の前のおもちゃで遊び続けることを好むのです。

親が子どもに期待する行動と、子どもが実際に行いたい行動が一致しないとき、そんな行動は「困った行動」と呼ばれます。

また、逆のパターンもあります。子どもが飛び跳ねて遊びたいときや、大声を出して楽しみたい時など、突然そうした行動をすることを望むことがあります。しかし、親はそのタイミングでそんな行動をされるのを望んでいません。こうした食い違いも、同様に「困った行動」と呼ばれます。

パニックの原因:日常生活の課題

自閉症の子どもがパニックを起こす一つの典型的なパターンは、親が子どもに何らかの日常的な行動をさせようとしたときです。例えば、子どもがおもちゃで遊んでいる場合を想像してみてください。親は子どもに着替えてほしいと願って、「着替えて」と指示します。

しかし、子どもは遊びが好きなので、着替えることを拒否します。親は、「着替えが終わったら遊んでもいいよ」と説得しようとするでしょう。それでも、子どもは遊び続けます。自閉症の子どもは、見通しを抱いて行動することが苦手なため、親が言った「後で遊べる」という情報が頭の中に残らないのです。

このような状況でも、親は子どもに着替えてもらわなければ困るので、何度も説得を続けます。しかし、子どもは理解できず、遊び続けます。次第に子どもの興奮状態が高まり、これがパニックにつながるのです。

親は、子どもに日常的なことをさせようとしています。しかし、親の視点からは、子どもにとって非常に嫌なことを強制しているという認識がありません。そのため、子どもが突然パニックを起こしたように感じてしまうのです。

癇癪の原因:欲求と待機の矛盾

自閉症の子どもが癇癪を起こす一つの典型的なパターンは、子どもが何かを急に強く欲しがったり、何かをすぐにやりたくなったときです。例えば、子どもが突然「じゃがりこが食べたい」と言い出したとしましょう。しかし、残念ながら家にはじゃがりこがありません。親は、「夕方になったら買い物に行くから、それまで待ってね」と言うでしょう。

しかし、子どもは一度何かを欲しがると、その欲求がなくなるまでそれを忘れることができません。親が何度も「夕方まで待ってね」と言ったとしても、子どもは「じゃがりこが食べたい」と要求し続けます。自閉症の子どもは、見通しを抱いて行動することが苦手なため、親が言った「夕方になったらじゃがりこが食べられる」という情報が頭の中に残らないのです。

親は今すぐににはじゃがりこをあげることができません。しかし、子どもは理解できず、要求を続けます。そして、子どもがとる最後の手段、それが癇癪なのです。

パニックと癇癪の軽減:「見通し」を見せる

○○を終えたら自由に遊べる」という見通しを立てられると、自閉症の子どものパニックは少なくなります。「お母さんが言う通りに、これを終えたら楽しいことが待っている」という見通しを理解すると、親が強制する必要がなくなり、パニックも回避できます。「□□まで待ったら欲しいものが手に入る」という見通しを持つことができれば、子どもは我慢ができ、癇癪も回避できます。

しかし、この「見通し」を伝えるためには言葉では殆ど効果がありません。自閉症の子どもは、頭の中で見通しを立てて行動するのが苦手です。言葉で見通しを教えてあげても、それが子どもの頭の中に残ることは少ないのです。

それゆえ、自閉症の子どもに見通しを伝えるときは、見せて」あげることが重要です。「まず○○をやる、その後に□□ができる」と具体的に見せることで、見通しを理解しやすくします。

このテーマについては、より詳しい記事「自閉症のパニックと癇癪を無くす方法とは?」でも説明しています。

見通しを示すことで、自閉症の子どもの行動がスムーズになる筋道を理解し、日々の生活をより良いものにしましょう。

まとめと参考資料

自閉症の子どもは、頭の中で見通しを立て、それに基づいて行動することが苦手です。その見通しの欠如が、パニックや癇癪、さらには困った行動の主な原因となります。

自閉症の子どもに見通しを教える際は、見せる形でそれを伝えてください。それがなぜ子どもの行動を円滑にするのか、詳細は無料レポートでやさしく説明しています。下のボタンをクリックしてください。

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