自閉症の子供がパニックになる状況がわかったショックな現実

我が家の三男君は重度の自閉症です。三男君は2001年生まれ、この記事を書いてい時はもう18歳です(県立養護学校に通っていて高等部3年生)。小さい頃はパニックや癇癪が多かったなぁ。今ではパニックや癇癪はほとんど現れません。

何が良かったのかと振り返ると、8歳の時から月2回民間の療育機関に通い始めて、その半年後からPECSという絵カードを使ったコミュニケーション法を教えたことと、10歳の頃から日常的にスケジュール表を使い始めたことだと思います。確かに、コミュニケーションとスケジュール表でパニックは無くなったのですが、なぜ効果があるのかと問われると、なかなか良い答えは見つかりませんでした。

先日(2019年9月)、内山登紀夫先生の講演会「自閉症のこれから」を聴講しました(講演時間2時間半)。TEACCHの普及に尽力された佐々木正美先生はもう亡くなられたので、日本のTEACCH界隈では内山先生が現在はNo.1の方だと思います。

その講演の中のごくごく一部なのですが、DSM-5での自閉スペクトラム症の判断基準のところで、こんな下りが私の頭には突き刺さりました。

C. 児童期早期に明らかになる(しかし、周囲からの社会的要求が能力の限界を超えるまでは完全には明らかとはならないかもしれない。)

判断基準にはAからEの5つがあるので、上記のCはそのうちの一つです。私は頭の中で、前後を補完してみました。すると、「自閉症の症状であるパニックは、周りの人からの社会的要求が、自分の能力を限界を超えると、現れる。」

その時私は、長男の幼稚園の卒園式での園長先生の言葉を思い出しました。園長先生が何を言ったかはほとんど覚えていないのですが、一つだけ覚えています。それは、園長先生が以前の卒園生からこんな手紙を受け取りましたという手紙の出だしです。「僕は幼稚園の砂場の中で、スコップを取り合ったり、一緒に砂山を作ったりして、社会を経験することができた。」

自閉症の子供が最初に接する社会は家庭です。最初に接する周りの人はお母さんです。お母さんからの要求が、子どもの能力の限界を超えている・・・?! 朝になったら、布団から出て、トイレに行って、朝ごはんを食べて、歯磨きをして、お着替えをする。おやつは3時まで待ってね。今日はお母さんの買い物についてきてね。家庭内の日常生活が、子どもにとって全て社会的要求じゃないですか!

朝のお着替えを子供が嫌がって着替えをしなかったら、お母さんは最初は優しく「お着替えしましょうね」と言います。子供が動かないと、お母さんは何度も何度も説得します。そのうち、怖い顔になっていきます。子供が抵抗を始めると、お母さんが手伝ってもお着替えはうまく進みません。お母さんはイライラして怒り始めます。・・・子供はパニックを起こします >_<

子供が自閉症という障害を持っていることは、お母さんの責任ではありません。でも、子供がパニックになるときに直接手を下したのがお母さんじゃないですか!? お母さんは当たり前のことを自然にやっているので、しかも子どもに良かれと思ってやっているので、最後のパニックボタンを押したのがお母さんであるなんて、気づかないです。教えてあげても、それを認めるのは難しいでしょうね。

三男は小さい頃、よくパニックや癇癪を起こしました。どんなときにパニックになるかは、よくわかりませんでした。いつ何時パニックになるかわからない、と感じていました。はっきり覚えているのは、車で一緒に出かけるときに、三男の行きたいところへ最初に行かなければ、癇癪を起こすと言うことぐらいです。出かけるときに、最初に親の都合の用事のところへ行くと癇癪を起こしていました。(お出かけの時に、行き先の順番をスケジュール表で見せるようにしてからは、車の中での癇癪は無くなりました。)

私たちが考えてる普通の生活が、自閉症の子供をパニックにさせているじゃないか! かなりショックでしたね。と同時に、解決方法も明快になりました。

社会的要求とは場所と時間をわきまえることです。場所とは、自分のする行動をこの場所ではダメだけど、この場所ならやってもよいということ。時間とは、自分のする行動を、周りの人と時間を合わせることです。2つのうち時間の方が重要性が大きいです。子供だって、着替えはできるんです。でも、お母さんが望む時間にお着替えをしないと、朝の家庭が大変です。おやつだって、お母さんは必ず子どもにあげるんです。でも、3時までおやつを待ってもらわないと、家庭は大変です。

単純に考えても解決方法は2つです。一つ目は、社会的要求を低くする。二つ目は、社会的要求に応える力を養う。もう明らかですよね。

社会的要求を低くすることは、出来ません。それどころか成長とともに、子どもへの社会的要求はどんどん増えていきます。子供がパニックや癇癪を起こす機会がどんどん増えてくるってことです。

だから、社会的要求に応える力を養うことをやりましょう。今は着替えたくなくても、家庭内で要求されている時間に(きがえを)する力。今すぐ欲しくても、家庭内で要求されている時間まで(おやつを)待つ力。そんな力が子どもに着くと、お母さんが何度も何度も説得したり、無理やりやらせたり待たせたりすることも無くなります。お母さんが、子どものパニック・ボタンを押すことも無くなります。

では、どうやって周りの人と時間を合わせる力を養うのか?

はい、スケジュール表です。

でも、家庭での日常生活の行動をスケジュール表でやっていくだけでは、うまく行きません。子どもの待つ力や、嫌なことでも我慢してする力を養うには、少しテクニックが必要です。どんなテクニックがお母さんに必要かを知ってしまえば、誰でもやれるし、パニックや癇癪も現れなくなります。