自閉症の子どもの行動をスムースに切り替える、とっておきの方法

生活スキル

自閉症の子どもって、今やっていることをやめないで、次の事に切り替えるのが苦手ですよね。お母さんも先生も支援者も、子どもの行動を切り替えさせるためにとても苦労していると思います。

この記事では、行動を切り替えるのはどんな時なのか、自閉症の子どもはなぜそれが苦手なのか、どんな支援策があってなぜうまくいかないのかを説明します。そして、最後に行動をスムースに切り替えるとっておきの方法をご紹介します。

行動が切り替わる時

最初に行動の切り替えって何?から見ていきましょう。

  1. 今やっている事
  2. 次の事をする

単純ですよね。

では、どんな時に子どもは行動を切り替えるのでしょうか?

それは、「今やっている事」と「次の事」を比べて、「次の事」の方が子どもにとって魅力的であれば、自ずと子どもは行動を切り替えます。

物事の魅力は変化するものです。例えば、十分に今の事をやって飽きてしまうと、今の行動の魅力は低下します。そして、次の行動の方が魅力が大きくなります。そうなると、切り替えるわけですね。

なぜ、行動の切り替えが必要なのか?

子どもが行動を切り替えないのに、なぜ行動を切り替えさせなければならないのでしょうか?

それは、親や先生や支援者にとっては、その時点で、「次の事」の方が重要だからです。子どもには、次の事に行動を切り替えてもらわなければ困るからです。大人の社会的事情とでも言いましょうか、皆んなで生活していく上では、子どもは行動を切り替えなけらばならないのです。

なぜ、自閉症の子どもは切り替えが苦手なのか?

それよりも先に、普通の子どもはなぜ、親や先生や支援者が促すと、行動の切り替えができるのか? それを先に考えるべきです。普通の子どもだって、今やっている事を続けたいのに。

普通の子どもなら、切り替えが容易な理由は2つあります。

一つ目は、切り替えをしないと怒られるのがわかっているからです。今の事を続けていると、怒られるという見通しが頭の中に湧いてくるからです。怒られるというネガティブな魅力よりも、(子どもは嫌かもしれませんが)次の事をする魅力の方が優っていると、自分で感じるからです。

二つ目は、(子どもは嫌かもしれませんが)次の事をやってそれを終わらせてしまうと、また自分のやりたい事ができると、思うからです。そのような見通しを自分の頭の中に抱きます。そうやって、行動を切り替えた方が魅力的だと、自分で感じるからです。

一方で自閉症の子どもの場合です。自閉症の子どもは頭の中で見通しを立てるのが苦手です。例え怒られても、今やっていることは魅力的です。だから、やめようとしません。また、「さっさと切り替えて、その後でやりたいことをする」と言った見通しは立ちません。なので、切り替えた方が魅力的だとは感じないのです。

切り替えを促す支援方法

子どもに飽きるまでさせるという方法は除外しましょう。

大人が決めた時刻に、子どもの行動を切り替えさせる支援方法です。典型的には2つあります。

タイマーを使って終わりをはっきりさせる

既にタイマーで支援されている方も多いと思います。

今やっている行動に対して、予め、「○○時までやったら、次の行動ね」とか「○○分やったら、次の行動ね」と子どもに説明しておいて、タイマーをセットして子どもに見せます。時間が来たら終わり、という機運が高まるわけですね。

タイマーは万能ではありません。今やっている事の時間が短いと、タイマーが鳴っても子どもは止めようとしないでしょう。タイマーを使うにせよ、ある程度の時間を確保して、子どもが飽きるというか満足させてあげる必要があります。そして、次の行動への切り替えを促します。

次の行動の後に魅力的なことが待っていると見せてあげる

切り替えすべき時間になったら、「次にする事と、その次の子どもにとって楽しい事」をスケジュール表や絵カードを使って見せてあげる支援方法です。

「今やっている事」 vs 「次にする事 + その次の楽しい事」、という構図です。後者の方が魅力的であれば、子どもはスムースに行動を切り替えます。

ただし、「次にする事 + その次の楽しい事」を言葉で教えてあげても、効果は薄いのです。言葉で教えられた連続した行動は、一種の見通しです。自閉症の子どもにとって、言葉で教えられた見通しは、頭の中に残りにくいのです。

この方法は、タイマーよりも良い方法だと私は思います。しかし、多くの方には現実的ではありません。支援するためには、大人が「その次の楽しい事」を考えて、スケジュール表や絵カードを使って見せるという事が必要になってきます。いつもそんな支援をしている人なら出来ます。

切り替えをスムースにする、とっておきの方法

子どもにとっては今の事が魅力的、大人にとっては次の事が重要、この2つを両立させる方法です。

  1. 今やっている事A(子どもにとって魅力的)
  2. 次の事B(大人にとって重要)

そもそも、Aが先で、Bが後という順番に無理があると思いませんか?

こうしたらどうでしょうか?

  1. やる事B(大人にとって重要)
  2. やる事A(子どもにとって魅力的)

例えば、

  • 【家庭なら】 「先に宿題をやってね。終わったら、ずっとゲームしていいよ。」
  • 【学校なら】 時間割を組み替えて、子どもが楽しみにしている活動を後に配置する。

そんな具合です。

子どもの切り替えに苦労している時は、活動の順番に無理があるという発想をしてみてください。そして、子どもにも大人にも望ましい順番に入れ替えてみてください。

切り替えが苦手という問題は、意外とあっさり解決すると思います。

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