家庭療育ミニ講座
「自閉症児の感覚と運動機能」のテーマは、私の頭の中では弱い部分です。
これまで重要視してこなかったので、みなさんと一緒に勉強を始めようと思います。
あなたに、本を読んでくださいと強要するわけではないので、ご安心ください。
成果を出している、自閉症の療育機関では、
・構造化、視覚支援による生活支援
・ABAによる、認知や生活スキルの向上
・感覚問題のケアと運動機能の育成
をバランスよく行っています。
しかし、私の家庭でもそうですが、自閉症の療育機関の多くで、「自閉症児の感覚と運動機能」に対する支援の量が少ないのも事実です。
自閉症の療育方法の歴史を振り返ると、なぜ現在「自閉症児の感覚と運動機能」に対する支援の量が少ないのかも見えてきます。
この分野はいわゆる「感覚統合療法」と呼ばれており、かなり前から存在してる分野です。
2000年頃には、「感覚統合療法」や「ムーブメント療法」と飛ばれる、運動を中心とした自閉症の治療手法が流行っていました。
治療の根拠は、「脳内のある部位に異常があるため、自閉症を起こしている。その部位を刺激する運動を行うことで、自閉症の症状が改善する」ということでした。
ブランコに似た「スイング遊具」を使うのがこの療法の特徴です。
養護学校(特別支援学校)には「スイング遊具」が今でもありますね。しかし、現在では自閉症児向けにはあまり利用されていないようです。
なぜ、「感覚統合療法」が下火になっていったかを、私なり分析すると、、、
1)根拠が脳内にあるため、実際に確認することが困難であった。
2)「感覚統合療法」の研究者はエビデンス(実験結果)を重視しなかった(なぜかは、わかりませんが)。そのため、エビデンスが揃っていない。
3)エビデンス(実験結果)を重視する、他の療育法(具体的には、「ABA」)が発達し、自閉症療育の成果を上げていった。
もっと、突っ込んで言うと、、、
「感覚統合療法は、自閉症を治すことを主眼に置いた。」
「(現在主流になっている)他の療法は、『治す』ことを諦め、お子さんの『成長を支援』する方向にシフトした。」
のだと思います。
自閉症の子供の「感覚の問題」も「行動の問題」もABA、構造化、視覚支援の手法で、かなり改善することができたのです。
でも、冷静に考えると、お子さんの「感覚の問題」は「感覚の問題」として捉える必要がありますよね。
「感覚統合療法」の研究家は、昨今巻き返しを図っていて、エビデンスを基にした論理の再構築に学会を上げて注力していると聞いています。(嬉しことですね)
お子様の成長と
ご家族のゆとりのために!
古林 紀哉
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