自閉症支援で視覚的スケジュールを使わない5つの迷信

自閉症レクチャーノート - 視覚的スケジュールを使わない5つの迷信

あなたの周りには、こんな事を言う人がいませんか?

  • いつもスケジュールを使っていると、指示待ち人間になってしまう。
  • 口頭コミュニケーションの発達が遅れる。
  • スケジュールで子どもを操るのは人権侵害だ。
  • 言葉を理解しているので、視覚支援がなくても大丈夫。
  • 将来はスケジュールを支援してもらえない。今からスケジュールなしの練習が必要。

もう昔話の領域かもしれません。
2000年代は、そう言う迷信をちょいちょい耳にしました。

子どもの生活空間は、家庭と家庭外が半々です。家庭ではお母さんが頑張って、スケジュール支援をしているのに、家庭外の支援者や先生がスケジュール支援を受け入れてくれないと、困っているお母さんの話を耳にすることもありました。

それでは、視覚的スケジュールを使わない迷信を一つずつ解説します。いや、迷信を一つづつ潰していきましょう。

いつもスケジュールを使っていると、指示待ち人間になってしまう。

「指示待ち人間になる」と言われると、困りますよね。では、指示待ち人間の反対語はなんでしょうか。それは、自立した子どもです。私たちは、子どもに自立して欲しいのです。自立とは、自分で計画して、計画どうりに実行できる事です。私たちは、子どもが自分で計画して、その計画どうりに子どもが行動する事を望んでいます。子どもの自立した活動を支援するツールが、視覚的スケジュールです。

口頭コミュニケーションの発達が遅れる。

視覚的スケジュールを使っている子どもは、本当に口頭コミュニケーションの発達が遅れるのでしょうか? 口頭コミュニケーションが遅れた、という研究事例があるのでしょうか?

視覚的スケジュールを使うとき、活動を見せることは、主にイラストや写真を使います。通常は、イラストや写真の下に文字を書いて使います。スケジュールの指導をするときは、お母さんが「次はトイレですよ。」と言ってあげます。

子どもは、イラストの「トイレ」を理解しています。子どもがまだ理解していない、「トイレ」の文字や、「トイレ」と言う音声を、「トイレ」のイラストと同時に見せられたり、聞かされたりします。だから、視覚的スケジュールの使用は、口頭コミュニケーションの発達を促進しているのです。ただし、口頭コミュニケーション指導の中心部分ではありません。

スケジュールで子どもを操るのは人権侵害だ。

この迷信は、「視覚的スケジュールで子どもを操れる」ことを暗に認めています。

子どもの問題行動や暴走を虐待で制止するのと、視覚的スケジュールで子どもの行動をコントールするのと、どちらが人権に配慮されているでしょうか? 私は、「視覚的スケジュールを使う」ほうが、人権的に好ましいと思います。

言葉を理解しているので、視覚支援がなくても大丈夫。

子どもは、あなたが言葉で指示したとうりに行動できますか? あるいは、子どもは視覚的指示を加えた時と、言葉での指示の時とで、全く同じように指示を実行できますか? もしそれができるなら、視覚的な支援がなくても大丈夫です。

自閉症の子供は、言葉の指示を表面的にしか理解しないので、あるいは、自閉症の子供は言葉尻を捉えてしまうので、指示の意図を正しく理解していません。逆に、視覚的指示には曖昧性がなく正しく伝わります。

将来はスケジュールを支援してもらえない。今からスケジュールなしの練習が必要。

この迷信は、学校の先生がよく使っていました。学校の先生は、児童・生徒の卒業後は、支援をしないんですけど。

確かに以前は、子どもの卒業後の行き先では、視覚的スケジュールの支援がないことがほとんどでした。最近では、視覚的スケジュールの効果が正しく理解され、そんな支援をする作業所や職場が増えています。逆に言うと、視覚的スケジュールを使わない作業所や職場というのは、自閉症の特性を理解していない不勉強な事業主です。そんな、作業所や職場を選ばないでください。

この迷信をいう人は、視覚的スケジュールに効果があることを、暗に認めています。ところが、自閉症の特性から言うと、視覚的スケジュールを使わない練習をしても、視覚的スケジュールなしで活動できるようにはなりません。(今回、その理由は割愛します。)

視覚的スケジュールなしの練習を続けても、目標は達成できないのです。

ここまでで、5つの迷信を潰してきました。
これからも時々、同じような迷信を聞くことがあるかもしれません。
その人の言うことに騙されないでください。

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