絵カードの種類と使い方

自閉症の支援に使う絵カードの種類

自閉症の子どもの支援に絵カードが役立つことがよく知られるようになりました(視覚支援)。しかし多くの人は絵カードの使い方の一部しか知りません。絵カードを使うシーンは何種類かあり、それぞれ目的や効果が違います。実は絵カードは、皆さんが想像している以上に、役立つものなのです。

自閉症の子どもに使われる絵カードの種類

自閉症支援の絵カードには次の4種類の使い方があります。

  1. 指示カード
  2. コニュニケーションカード
  3. スケジュールカード
  4. 練習カード

おそらく皆さんは、4種類を区別しないで全て「絵カード」と呼んでいると思います。このページでは4種類の絵カードを区別するために、ちょっと長い名前で呼ぶことにします。皆さんの頭にある絵カードは、1番の指示カードです。それぞれの絵カードは目的が違うので、大きさや構造も違ってくるのです。

指示カード

指示カード:自閉症の絵カード

指示カードは、お母さんや先生が自閉症の子どもに見せるための絵カードです。お母さんが子どもに何かをさせたい時に、その合図として出すので、キュー(que:合図)カードとも呼ばれます。

自閉症の子どもは、言葉だけで行動を促すよりも、指示カードを見せた方がよく動いてくれます。

指示カードとしての絵カードは、3歳ぐらいから使い始めたり、喋れない(言葉を理解できない)自閉症の子どもに使うことが多いです。なので、ほとんどの人は絵カードが言葉の代わりになっていると思っています。それは違います。絵カードのイラストや写真の数だけ語彙があることになるので、言葉の代わりになっているように感じますが、会話として成り立っているわけではありません。指示カードは、子どばを理解していて喋れる子どもにも使います。

お母さんが子どもに何かをさせたい時、お母さんは何枚もの指示カードの束から(トランプの束のようですね)、今子どもにさせたい行動の指示カードを探し出して、その指示カードを子どもに見せます。例えば、トイレのカードを見せて「トイレに行きなさい」。ご飯のカードを見せて「ご飯だよ」。自動車のカードを見せて「お出かけするよ」。そんな具合です。

指示カードは、お母さんが子どもに命令するためのカードなので、お母さんが手に持ちやすい大きさが好まれます。実際には、写真L版サイズそのままの大きさだったり、IDカード(キャッシュカード、クレジットカード、運転免許証など)の大きさが好まれます。

ご注意指示ばかり出していると、子どもは絵カードを嫌いになり、指示カードの効果も数週間で無くなってしまいます。子どもにとって「これは便利だ!」という使い方をしてください

コニュニケーションカード

コミュニケーションカード:自閉症の絵カード

コミュニケーションカードは、自閉症の子どもがお母さんや周りの人に自分の意思を伝えるための絵カードです。まさに子どもが発する会話(コミュニケーション)のための絵カードです。

コニュニケーションカードは、喋れない自閉症の子ども向けに進化してきましたが、喋れる自閉症の子どもにも効果を発揮します。

喋れない自閉症の子どもの場合、言葉以前に、自分の欲しい物をお母さんに伝える力、すなわち要求する力がまだ発達していません。コニュニケーションカードは、子どもに自分の欲しい物をお母さんに伝える力を養うために使います。

じゃがりこが欲しい時は、お母さんに「じゃがりこ」のコニュニケーションカードを渡す。ジュースが欲しい時は「ジュース」のコニュニケーションカードをお母さんに渡す。ミニカーをとって欲しい時は、「ミニカー」のコニュニケーションカードをお母さんに渡す。そんな練習をしていきます。

コニュニケーションカードがあれば、初めから子どもが要求できるわけではありません。使い方を教えるために、PECS(ペクス:絵カード交換式コミュニケーション方式)が開発されました。PECSはかなり効果のある指導方法です。

自閉症の子どもには共通して、選択する力が弱いという特徴があります。言葉を喋れる自閉症の子供でも選択力は弱いのです。選択力を養うためにもコニュニケーションカードは有効です。

選択力を養うためには、コミュニケーションカードを何枚か並べて、お母さんは「どれにする?」と聞いてあげます。例えば、「じゃがりこ」、「チョコベビー」、「ポテトチップス」のコミュニケーションカードを見せて、「今日のおやつはどれにする?」。「公園」「コンビニ」「動物園」のコミュニケーションカードを見せて、「明日のお出かけは、どこにする?」と言った具合です。

コニュニケーションカードの語彙は、食べ物、外出先が多くを占めます。

子どもの手の大きさを考えて、コミュニケーションカードの使い始めは、45 x 45 mm のサイズの絵カードがよく使われます。コミュニケーションカードを取るときには、何枚ものコミュニケーションカードを一覧できることが必要になります。A5サイズのボード(厚紙)にコミュニケーションカードを貼っておくことが一般的です。貼ったり剥がしたりするので、ボードとコミュニケーションカードの両方にマジックテープを使います。

ボードに貼れるコミュニケーションカードには限りがあります。慣れてくると、カードのサイズは 35 x 35 mm の方が使い勝手が良くなります。また、コミュニケーションカードが増えてくると、サイズはさらに小さくなり 25 x 25 mm が使われます。小さくて、イラストや写真がわかりにくいと感じるかもしれませんが、そのサイズでも子どもはしっかりと認識できます。

スケジュールカード

スケジュールカード:自閉症の絵カード

スケジュールカードは、自閉症の子どもが朝のお支度、午後の予定、週間カレンダーのようなスケジュール表で使う絵カードです。

子どもが喋れる喋れないに関わらず、自閉症の子どもにとってスケジュール表には重要な役割があります。自閉症の子どもは、頭の中で考えて行動していくことはとても苦手です。自閉症の子どもは、今何をして、これからどうなって、最後は何をするというのが見えていると、とても安定します。逆にスケジュール表がないと、お支度がなかなか進まないとか、お母さんのいうことを聞かないとか、時にはパニックになることもよくあります。

朝のお支度の内容と順番が見える、午後帰宅してから寝るまでの内容と順番が見える、今日を起点にして数日間の予定が見えるというのが、スケジュール表とスケジュールカードの役割です。スケジュール表では、一つのお支度(または行動、または予定)が終わったら、そのスケジュールカードをスケジュール表から外すという使い方が基本になります。

スケジュールカードの語彙は、お支度の内容、家庭内の活動、行き先、イベントが多くを占めます。コミュニケーションカードの語彙は名詞が主でしたが、スケジュールカードの語彙は行動が主になります。

スケジュールカードはスケジュール表から貼ったり剥がしたり、順番を入れ替えたりするので、子どもにも扱いやすいことが重要です。

スケジュール表は壁に設置し、少し離れたところから見るので、大きめのサイズの絵カードが良さそうに感じます。しかし、サイズが大きいと一列に並びきらなかったり、カレンダー上で一日に枠に入りきらない欠点があります。そのため、スケジュールカードのサイズは、35 x 35 mm が適しています。朝や午後の上から下へのスケジュール表なら、横長の長方形の絵カードでもいいのですが、週間カレンダーで使うスケジュールカードと共用するには、正方形の絵カードの方が使い勝手がよくなります。

練習カード

自閉症の子どもの認知力を養ったり、語彙を増やすための練習をする絵カードです。絵カードを使った練習の代表的なものは、マッチングとフラッシュです。

マッチングカード:自閉症の絵カード

マッチングは絵カード合わせとも呼ばれる練習です。机を挟んで子どもと指導者(またはお母さん)が向かい合って座ります。そして、子どもの前に、「犬」と「スプーン」の絵カードを左右に並べておきます。指導者は、(もう一枚持っている同じ)「犬」の絵カードを子どもに見せて、「犬はどっち?」と聞きます。子どもが、自分の前に置いてある「犬」の絵カードを取って指導者に渡せば、正解です。

子どもの前に並べるマッチングカードは、最初は2枚から始めますが、徐々に枚数を増やして練習します。またマッチングカードの内容は、図形や身の回りものなどいろんなバリエーションがあります。

マッチングカードは、机の上から子どもに取らせるので、2mm ぐらいの厚みのカードが適しています(自作だと、薄い絵カードになってしまいます)。また、合わせるためには同じ内容の絵カードが2枚必要になります。そのため、一般の知育用の絵カードを2組購入して準備するのが効率的です。

フラッシュカード:自閉症の絵カード

フラッシュは、A5サイズ(写真L版より大きいサイズ)程度の絵カードを使います。練習では、10秒間に20枚程度の絵カードをどんどん見せていきます。

絵カードはいつ頃まで使うのか?

コミュニケーションカードと、スケジュールカードは、この先ずっと子どもの生活を助けてくれます。これらの絵カードは、子どもの成長とともに、また子どもの活動範囲の拡大とともに、新しい語彙の絵カードが必要です。もしも、支援者やお母さんが必要な新しい絵カードを増やさないと、コミュニケーションとしてもスケジュール表としても語彙が足りません。語彙が足らないと会話は成り立たないし、スケジュールも歯抜けになります。役に立たないので、子どももお母さんも使わなくなります。

現実として、無くてもやっていけるから卒業したのではなく、支援者やお母さんが絵カードを増やすことに疲れたので、使えなくなる場合が多いようです(それで、子どもの生活に問題がなければいいのですが・・・・)。

絵カードは、子どもには問題なく使えて、支援者はお母さんにとっては増やすのが簡単である(または、増やすことに慣れて苦にならないようにしておく)ことが、子どもにも支援者にもお母さんにも大切です。

本当に絵カードを卒業していいとしたら、それは子どもが文字が書けるようになって、自分で紙のスケジュール表と鉛筆を使って、子ども自身でスケジュール管理ができるようになった時です。

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