自閉症の子どもの行動は、普通の子どもに比べると随分と違います。その違いを列挙していくと、何百となるだろと思います。一般的にまとめたとしても、十数個くらいにはなるだろし、皆さんが既に感じていることや、習っていることと同じです。
しかし、その違いの根元を辿っていくと、ほぼ3つの重要な違いに行きつきます。そして、その違いも元はと云うとたった一つの違いに行きつきます。
自閉症の子どもの、(普通の子供とは違う)その部分を支援してあげると、自閉症の子どもの行動も普通の行動に近づいていきます。
今回は、3つの重要な違いにスポットを当てます。
行動における最大の違い
自閉症の入門書でも専門書でも必ず登場するのが
自閉症の子どもは、見通しを持つのが苦手。
とう、特徴です。
これが私のいう、自閉症の子どもと普通の子どもの様々な行動の違いをもたらしている、たった一つの違いです。
見通しという言葉も、自閉症療育の世界では毎度毎度登場しますね。でも、とても深い、皆さんの想像を遥かに超えた深みを持っています。
3つの重要な違い
「見通しを持つのが苦手」にあと2つ加えると、3つの重要な違いに派生します。
- 見通しを持つのが苦手
- 目標を持つのが苦手
- 自分で自分を褒めない
今追加した2つも、実は「見通しを持つのが苦手」から派生しています。
それぞれをもう少し詳しく見ていきましょう。ちょっと順番は変えます。
目標を持つのが苦手
目標という言葉は、普段からよく使いますよね。私たちの行動のほとんどは目標を持って行動しています。特に「目標」を意識していませんけど、脳は無意識に自動的に目標を抱いて、私たちは行動しています。
目標って目の前のことよりも、ちょっと先のことでしょ。時には長期目標などもありますけど、まあ3分先とか5分先のことだと思ってください。
ちょっと先の目標を持つには、例え3分先だとしても、見通しが必要です。もしも見通しを立てるのが苦手だったらどうでしょうか? ちょっと先の目標を抱くことができません。
目標がないと、行動力が弱いのです。俗にいうモチベーションが働かないのです。その結果、目の前の好きなことや外からの刺激に自分の行動が左右されてしまいす。今やっていることに飽きたら、突然他のことを始めたりします。
自閉症の子どもの行動によく見られる特徴でしょ。
自分で自分を褒めない
私たちが、自分で自分を褒めるのはどんな場合でしょうか?
ずばり、目標を達成した時です。どんな小さな目標であっても、どんなに短時間でできることであっても、目標と結果が一致すると、それを目標達成といい、目標達成すると。自分で自分を褒めます。これも、人間の脳は無意識に自動的にやっているのです。
もしも目標がなかったらどうでしょうか? 目標達成もあり得ません。すると、自分で自分を褒めることもありません。
人間の行動というのは、褒められると上達していきます。お母さんから褒められることもあるだろうし、他人から褒められることもあるだろうし、自分で自分を褒めることもあります。そうやって小さい頃は生活スキルが上達していくし、大きくなると勉強や仕事のスキルそして社会スキルが上達していきます。
普通の子どもだと、生活スキルを身につける時に、お母さんから褒められたり、自分で自分を褒めたりします。そうやって成長していきます。
一方、自閉症の子どもは、生活スキルが遅れているせいもありお母さんから褒められることが少ないです。また、自分で自分を褒めることも、ほとんどありません。結局、褒められる機会が少ないので、生活スキルの上達が遅いのです。
見通しを持つのが苦手
最後に、見通しを持つのが苦手だど、行動にどんな特徴が出るかを説明します。
俗に言う社会的な行動には、典型的な行動があり例えば以下の3つです。
- 他人と行動の時間を合わせる。
- 自分の義務的な行動を先にして、自分のやりたい行動を後からする。
- 他人の迷惑になることは、自分はやりたくてもそれをしない。
そんな行動をするには、実は見通しが必要なのです。見通しがないと上記のような行動はできません。
自閉症の子どもはどうでしょうか?
- 他人と同じスケジュールで動こうとはしません。自分のペースのみで行動しようとします。
- 義務的な行動は嫌な行動が多いので、そんな行動はしません。そして、自分のやりたい行動を真っ先にしようとします。
- 他人の迷惑になるようなこともします。これは問題な行動と言われます。
まとめ
自閉症の行動の特徴のほとんどは、
- 見通しを持つのが苦手
- 目標を持つのが苦手
- 自分で自分を褒めない
が原因で、生まれています。
特に「見通しを持つのが苦手」と言う特徴は、問題な行動を引き起こす原因です。
見通しを持たせることを支援すると、自閉症の子どもの行動のほとんどが改善します。具体的な支援方法については、他のページで紹介していきます。
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