お支度ボードが自閉症の子どもには役に立たない理由

お支度ボードの画像検索(2021年9月7日)

お支度ボードは2016年ごろから、幼稚園児のママさんの間で認知され始めました。当時は手作りが主流でした。ここ数年は市販品が出回るようになり、2,000円程度で手に入ります。メルカリ等のフリマで、手作り品を安価で売っている個人の方もいらっしゃいます。

自閉症のお子さんの支援では、「子どもが見通しを持てるように、家庭で絵カードを使ったスケジュール表を使いましょう」と勧められます。見通しを見せることは、とても効果のある、基本的な支援ですね。

そんなこんなもあり、自閉症の子どものために、お支度ボードを購入されるご家庭も多いようです。ところが、お子さんが、発達障害や自閉症の場合せっかく準備したのに、お支度ボードが3日も続かなかった」というご家庭がほとんどです。

なぜなのでしょうか?

お支度ボードと、自閉症支援用のスケジュール表は、全然違うんですよ。見た目は同じように見えますがね。

そしてもう一つ大きな違いがあります。お支度ボードを見た時に、健常児が頭の中に描く見通しと、自閉症の子どもが頭の中に描く見通しが、全然違うんです。同じお支度ボードを見てもですよ。

お支度ボードの概略

まず簡単にお支度ボードをおさらいしましょう。

構成は、A4サイズの小型ホワイトボードと、マグネットシートでできた両面の絵カードが十数枚です。絵カードの表面には一つのお支度が文字やイラストで描かれていて、裏面は「よくできました。」が描かれています。

使うときは、子どもがまずお支度ボードを見ます。絵カードの中から一つ選び、そのお支度をやります。そのお支度が終わったら、その絵カードを裏返します。すると、「よくできました。」が現れます。

子どもは楽しみながら、朝のお支度をやっていくという、便利グッズです。

お支度ボードは、基本的には、子どもが朝にやるべき事のリストです

健常児がお支度ボードで描く見通し

お支度ボードで表示されている内容は、朝の生活行動です。「トイレ」、「朝ごはん」、「着替え」、「歯磨き」、「カバンの準備」などなど。それらは、子どもが好き好んでやる行動ではありません。お支度ボードがなかったときは、なかなか捗らなかったでしょ。

でも、健常児はお支度ボードを見せられた時に、こんな見通しを頭の中に描きます。

  • 全部終わったら、遊べる(おもちゃ、テレビ、スマホ、など)。
  • 全部終わったら、幼稚園・学校に行ける(それらは楽しい場所)。
  • 全部終わったら、お母さんはニコニコしている。

やりながら、

  • 残りのこれが終わった、遊べる。
  • 残りのこれが終わったら、幼稚園・学校に行ける。
  • 残りのこれが終わったら、お母さんに褒められる。

そして、全部が終わると、自分が立てた見通しの通りに、自由に遊びます。

自閉症児がお支度ボードで描く見通し

自閉症の子どもは、頭の中で見通しを立てることが苦手です。でも、見せられた見通しなら理解できます。だから、自閉症児はお支度ボードを見て、そのまま理解します

すると・・・、「トイレ」、「朝ごはん」、「着替え」、「歯磨き」、「カバンの準備」をしないといけないと理解します。

頭の中で見通しを立てることが苦手なので、「全部終わったら、遊べる」という見通しはありません

お支度の一つ一つは好き好んでやる行動ではなかったですよね。自分の頭の中にある(見せられた)見通しは、やりたくないのです

お支度ボードがない時は、「やることがわからなかったので、動かなかった」のかもしれません。お支度ボードがある時は、「やることがわかった上で、動かない」のです。

自閉症児が使うスケジュール表で見せる内容

スケジュール表なら、必ず自閉症児の朝がスムースになるというわけではありません。

お母さんが子どもにやってほしい生活行動ばかりを並べると、やっぱり子どもは動きません。

スケジュール表が上手く行っているご家庭では、必ず、一連のお支度の最後に、子どもの好む活動の絵カードを貼っています。

自閉症のスケジュール表:朝のお支度

お母さんは、子どもに

  • あなたがやるべき事を順番にやっていくと、最後には、あなたの楽しいことができる。

と見せているのです。

自閉症の子どもは、見せられた見通しをそのまま理解します。

楽しいことが待っているので、途中のお支度もスムースに進むのです

お支度ボードに欠けている物

お支度ボードに戻りましょう。見たことのある市販品のお支度ボードを思い出しください。

  • 市販のお支度ボードには、「おもちゃ」「テレビ」「あそび」「図鑑」「DVD」など、子どもが好きな活動の絵カードは含まれていません。
  • 市販のお支度ボードには、子どもが好きな活動の絵カードを自作して増やしても、もう掲示するスペースが残っていません。

だから、お支度ボードは発達障害や自閉症の子どもには役にたたないのです。

もっと危険なのは、お支度ボードで失敗すると、お母さんは「我が子は、見せても動かない」と思ってしまうことです。そう誤解してしまうと、正しい見せ方を学ぼうとしなくなります。スケジュール表の絶大な効果を軽視してしまいます。

まとめ

お支度ボードが自閉症の子どもには役に立たない理由を解説しました。

  • 健常児は、お支度ボードの内容が終わったら遊べる、と自分で見通しを立てて行動しています。
  • 自閉症児は、見通しを立てることが苦手なので、お支度ボードを見てそのまま理解します。結果、やりたくないことばかりが見えるので、やろうとしません。
  • 自閉症の子どもにはそれらが終わったら自分にはどんないいことがあるかを見せると、途中のことはスムースに行動できます

自閉症の子どもに、見通しを正しく見せると、こんな良いことがあります。是非お読みください。

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