あなたのご家庭では、お子さんの、
- 癇癪
- 自傷
- 他害
- 暴れ
などの問題行動に悩んでいませんか?
問題行動の解消は、なかなか難しいものですよね。でも悲観することはありません。問題行動の解消方法は、既に知られています。
一つの特効薬的な方法があるわけではありません。解消方法には幾つかがあり、それらを組み合わせると、問題行動はなくなっていきます。
その方法たちは、2種類に分けることがでます:
- 特定の問題行動を解消する方法たち
- 生活スキルを豊かにし、間接的に解消する方法たち
今回は後者の一つ「子どもに選択力をつける」ことについてお話しします。
選択力についての自閉症の子どもの特性
自閉症の子どもは、選択する力が育っていません。ファミリーレストランで、写真入りのメニューを見ても、自分の食事を選べない子どもも多いようです。そしていつも、お母さんかお父さんが、注文する食事を決めています。
選択をするには、複数の選択肢が必要ですよね。
自閉症の子どもの代表的な特性として、「頭の中で複数の物事を考えることが苦手」というのがあります。そのために、自閉症の子どもは、自分では選択肢を頭の中に思い浮かべることができない傾向にあります。
選択肢がないと、選択する行動になりません。選択する行動の経験が乏しいと、選択力も育たないのです。
なぜ、選択力をつけると問題行動が減るのか?
問題行動が多く、かつ、日常的に選択する機会がほとんどない自閉症の子どもは、多くいるものです。そんな子どもに、選択する機会を増やした結果、問題行動が減ったという事例は数多く知られています。
なぜ、選択力をつけると問題行動が減るのでしょうか? 完全に解明されているわけではありません。でも、有力な理由として4つがあります。
- 選択したということは、本人が好きな物や行動を選んだことになります。それゆえに、その行動への本人の参加機会が増えます。そして、問題行動が出にくくなる。
- 選択した行動をしている時間は、問題行動が出る機会を奪います。そして、問題行動が出にくくなる。
- 選択した行動が、問題行動と同じ役割を果たしている。それゆえ、本人が問題行動を起こす必要がない。
- 問題行動は、自立の欠如から起こっていたという説。選択した行動をすると、本人の自律性が高まります。そして、問題行動が出にくくなる。
どれも、納得できるようだけど、スッキリした理由ではないかも知れませんね。
でも、問題行動が少なくなるのだから、それでいいじゃないですか?
家庭で、自閉症の子どもの選択力を養う方法
家庭の中で、選択を練習する機会は、いくつもあります。
- おやつ
- 着るもの
- 行先
- 遊ぶ物
などなど。
そして選択するには、選択肢が必要です。自閉症の子ども一人では、選択肢を頭の中に思い浮かべることが出来ません。
だから、選択肢はお母さんが用意して与えてください。
しゃべれるお子さんなら、
「おやつはどっちにする? ポッキーとジャガリコ」
喋れないお子さんなら、
「ポッキー」と「じゃがりこ」の絵カードをそれぞれ用意してください。
そして、お子さんに2枚の絵カードを見せながら、
「どっちにする?」と聞いて、選ばせてください。
家庭では、1日に1回は選択する機会を作ってあげてください。
自然に選択力をつけた自閉症の子どもたちの環境
お母さんが特別な意識をしないでも、自然に選択力をつけている自閉症の子どもたちがいます。そんな子どもたちの家庭環境の特徴は
- 喋れない子どもで、PECS(絵カード式のコミュニケーション)をしている。
- 日常的に、絵カード式の週間カレンダーを使ってる。
の片方、または両方です。
PECSをやっていると、子どもは絵カードブックにある複数の絵カードを見て、自分で絵カードを選んで文章バーに並べていきます。だから、見える選択肢から選ぶという動作を自然にやっているのです。
また、絵カード式の週間カレンダーを使っている子どもは、自分で予定を貼る機会が多いのです。だから、複数の絵カードの中から自分のやりたい絵カードを選んで、週間カレンダーに貼るという動作を自然にやっているのです。
PECSをやっている子どもや、絵カード式の週間カレンダーを日常的に使っている子どもたちは、問題行動が少ないことが知られています。そんな子どもたちは、選択行動を日常的にやっていたのが良かったのだと思います。
まとめ
- 自閉症の子どもに選択力を養うと、問題行動が減ることが知られています。
- 家庭では、お母さんが選択肢を示してあげて、子どもが選択する機会を増やしましょう。
- PECSや、絵カード式の週間カレンダーを家庭で使うと、子どもの選択力が自然に養われます。
自閉症の子どもの支援は準備が9割
古林紀哉
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