先日11月2日、私はオンラインLIVEセミナーで、
を家庭のお母さん向けにお伝えしました。
朝と夜の2回行い、朝は27名、夜は51名の参加でした。セミナー後のアンケートで、いろんなことがわかりました。この記事ではその一つ、「家庭でのスケジュール表の始め方を教えてくれる人が、今までいなかった?」ことについてお話ししたいと思います。
教え方の実演に関する参加者のご感想
そのセミナーでは、家庭でのスケジュール表の教え方、特に始めるときの実演も行いました。まずは、実演に関する参加者のご感想を見てみましょう。
- 今まで手を出しかねていたスケジュールに対して、具体的な方法が分かって、実行するきっかけができた気がします。(保護者)
- スケジュール表の良さは何度も見聞きして知っていても、スケジュール表の具体的な始め方教え方を教えていただいたのは初めてでした。重い腰が上がりそうです。(保護者)
- 今回のセミナーは大変勉強になりましたし、やるぞ!という気持ちになれました。(保護者)
- 予定を具体的に教えてくれる方って誰もいません。本を読んでもイメージがイマイチわかりづらいです。実演までしていただきありがとうございます。(保護者&支援者)
- スケジュールの最初の具体的な使い方だけで90分必要なのか!と思いました。参加された方の感想が知りたいです。(支援者)
支援者の多くが、家庭でスケジュール表を始めるのは簡単だと考えているようです。でも、ご家庭のお母さん達には、教え方のイメージがないのです。そんなお母さんが多い事をアンケートで私は再認識しました。
なぜ自閉症の支援者や専門家は、スケジュール表の教え方を教えないのか?
自閉症の支援者や専門家は、家庭でスケジュール表を使う事をお母さん達に進めます。しかし、教え方までは教えてくれません。
私は「お母さんに教え方を教えない」のは、2つの理由があると思っています。
- 支援者は、教えなくても、お母さんは簡単に出来ると思っている。
- 支援者は、家庭での教え方を知らない。(だから、教えようとしても教えられない)
早い話、お母さん達の実情を考えていないんですね。
本当にスケジュール表は簡単にマスターできるのか?
支援者は、職場で先輩支援者がやっている事を見て学んでいます。だから、支援者は自分たちが学んできたように、お母さんも学べると思っているようです。でも、お母さん達には、教えているところを見る機会が殆どありません。だから、お母さんには教えているイメージ、というかゴールのイメージが頭の中に無いのです。
でも入門書で学べそうですよね。確かに、スケジュール表はどんな入門書にも解説されているし、イラストや写真でスケジュール表を見ることができます。ABA(応用行動分析)の手法に比べると、学びやすいと思います。
でも、スケジュール表の写真だけでは、教え方のイメージは湧いてこないのです。
支援者はスケジュール表の教え方を知っているのか?
支援者が知っている、スケジュール表の利用シーンは、昼間の活動です。支援者は、家庭の朝のお支度の事を十分には知らないのです。
これは入門書にも言える事なのですが、実は、家庭での朝のスケジュール表の写真は、載っていません。イラストでの解説はあるんですがね。
また、子どもは家庭でスケジュール表を使うのは初めてです。初めての子供に、どうやって教えるかはかなり重要ですね。
- 初めて子どもがスケジュール表を見ると、どうなるか?
- 子どもが少し覚えたら、どんな風に使い始めるか?
- 教え方が悪いと、どんなことが起こるか?
- 子どもが使い方を覚えると、どんな風になるか?
最後の4番は、家庭のお母さんも想像がつきます。でも、1、2、3は書籍にも殆ど書かれていないし、それを教えてくれる人もいません。
結局、家庭でのスケジュール表をお母さんに教える力を持っている人が身近にはいなんですね。
だから、辛抱強く失敗を繰り返しながら我が子に教えたお母さんだけが、マスターできたのだと思います。
スケジュール表を使いこなしてる自閉症児の動画を見ても、教え方はマスターできない
12年くらい前だと思います。私はあるセミナーで、自閉症児が家庭でスケジュール表を使いこなしているビデオを見ました。私は、「お母さんは流石だよね」と感嘆しました。
私には、重度の自閉症の息子がいます(当時息子は特別支援学校の小学部)。まだ私が、スケジュール表の事を殆ど知らない頃でした。その時、私はスケジュール表を始めようとは感じませんでした(今は使ってますけどね)。
おそらく、そのお子さんのBefore、教えている時、Afterを知らないで、Afterだけをビデオで見たからだと思います。
家庭でのスケジュール表の教え方をお母さんに教える
先日11月2日のセミナーの録画90分を見返すと、私が実演した部分は24分でした。
- スケジュール表の設置場所
- 基本的な教え方
- 朝から家を出るまでの教え方
- 帰宅後から就寝までの教え方
- 週間カレンダーでのポイント
を実演しました。
この24分の実演で、多くの保護者の方が、教え方のイメージがつかめたようです。
まとめ
- 支援者の方はスケジュール表を教えるのは簡単だと考えています。
- しかし、家庭のお母さんは、教え方のイメージが湧かず、教え始めの1歩が踏み出せていません。
そこで、私は、『自閉症児の家庭で、パニックを解消するスケジュール表の始め方』セミナーを定期的にやろうと思います。
自閉症の子どもの支援は準備が9割
古林紀哉
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