自閉症のお子さんの育児が大変。パニックと癇癪が多くて悩んでいる。そして、自閉症の専門家や児童精神科医に相談に行きます。
すると、殆どの場合、次のようなアドバイスをされます。
「お子さんが見通しが立てられるように、ご家庭でスケジュール表を使ってください。」
そのアドバイスはパニックとどんな関係があるのでしょうか? 今回は、そのアドバイスを紐解いていきます。
見通しが立っていないと、何が起こるのでしょうか?
「見通し」とは、今から何をやって、その次に何をやって、・・・、最後にどうなる。ということを頭の中で理解してる状態です。
もしも見通しが立っていないと、今からすることはわかるけれど、その次や、・・・、最後がどうなるかが分かりません。
すると、子だけでなく人間は、今からすることに、ものすごい不安と恐怖を感じます。例えばあなたが目隠しをして道を歩くとしましょう。一歩二歩は歩けますが、その先は大きな不安と恐怖を感じるのではないでしょうか?
自閉症の子どもは見通しを立てることが苦手です。お母さんから、これからすることや最後はどうなるかを言われても、頭の中ではなかなか見通しが立ちません。
なので、自閉症の子どもは、私たちの想像以上に、人から言われる「次はこうしようね」という状態に、不安を抱えているのです。
子どもの見通しを妨げている特性とは?
とかく、自閉症の子どもは、目の前の好き嫌いで、行動をしています。好きなことは、飽きるまでやり続けます。嫌いなことからは、すぐに逃げ出そうとします。
そんな行動の特性を「近視眼的行動」と言うことにしましょう。
「見通しが立っていない」という言葉は、具体的なイメージが難しい言葉ですよね。「頭の中は、目先のことでいっぱい」と言った方が、イメージしやすいと思います。それが、「近視眼的行動」です。
自閉症の子どもは近視眼的なので、先のことを考える(すなわち、見通しを立てる)ことが苦手なのです。
子どもがパニックを起こす状況
ここから、子どもがパニックを起こした直前の状況を思い出してましょう。例えば、
- 幼稚園の帰りにお母さんと一緒に郵便局に行った
- 雨のために外出予定がなくなった
- 「タブレット(iPad)は終わり」、と言われた
- 「着替えをしなさい」、と言われた
- 好きなおやつが貰えない
- オモチャが買ってもらえない
- 初めての場所に行った
- 知らない人が自宅に来た
などなど。
子どもは今何かをしていて、お母さんから違うことを言われている、ことに気が付きませんか?
子どもの行動は近視眼的なので、今やっていることを止めたくありません。子どもの行動は近視眼的なので、お母さんから言われたことがよく理解できず、不安を感じます。
しかし、お母さんは当たり前のことを子どもにさせようとしています。だから、お母さんは、何度も何度も言い聞かせます。子どもの不安とストレスはどんどん溜まっていき、一気に爆発します。それがパニックです。
子どもの近視眼的行動と、お母さんの思いがぶつかることが、パニックの原因になってしまっているのです。(参考:こちらの記事「自閉症の子どものパニック:原因と対策」では動画で解説しています。)
近視眼的行動をやめてもらって、見通しを立てる支援とは?
言葉で教えてあげても、子どもの近視眼的行動は改まりません。ところが、これからどうなるかを見せてあげると、子どもの近視眼的行動は改まります。見せる役目をするのが、スケジュール表なんですね!
これから何が起こるかが見える状況を家庭に作ると、パニックはなくなっていきます。そのエッセンスをレポートにまとめました。自閉症の子どもを持つご家庭向けに、やさしくまとめました。ぜひ、レポートを読んでみてください。
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