自閉症の子どもを持つ親や、自閉症の方を支援する立場の皆さん、心の中に「パニックや癇癪」をどうにかできないかという想いは、きっと強くありますよね。
そんなパニックや癇癪を解消するのは、実は私たちの手の届く所にあるのです。
ただ、すぐに効果が現れる魔法のような方法や、万能の薬は存在しません。しかし、継続的に取り組むことで、家庭の中でパニックを減らし、穏やかな生活を送ることが可能になります。その具体的な方法について、今回は深く掘り下げてみたいと思います。
パニックに陥ると、どんな状況になるのでしょうか?
一瞬で不安や怒りが噴出し、無意識のうちに身体が動き始める。大声で叫んだり、手を振り乱したり、体を地面に投げ出したり、壁に衝突したり、あたりの物を乱暴に投げたりする様子が、まさにパニックの典型的な表れです。
その他にも、自分に対する危害行動が見られることがあります。自分の手を噛んだり、顔を引っ掻いたり、頭を壁に打ち付けたりといった、自分自身を傷つける行動は「自傷行動」と呼ばれます。さらに、他の人を攻撃する行動も見られることがあります。友達を叩いたり、噛んだり、蹴ったりするような他人を傷つける行動は「他害行動」と呼ばれます。
子どもがパニックに陥る瞬間は、一体何がトリガー?
それを探るには、パニックが発生する前後の状況を振り返ることが大切です。しかし、子どもがパニックに陥ると周囲も大混乱になります。「なぜ急にパニックに? 早く収束して欲しい!」と、誰もが頭を抱えることでしょう。そんな中、詳しい状況を覚えていることは難しいですよね?
以下は、子どもがパニックを起こす可能性がある状況の一例です。
- 幼稚園の帰りにお母さんと一緒に郵便局に行った
- 雨のために外出予定がなくなった
- タブレット(iPad)は終わり、と言われた
- 「着替えをしなさい」、と言われた
- 好きなおやつが貰えない
- オモチャが買ってもらえない
- 初めての場所に行った
- 知らない人が自宅に来た
- 周りで誰かの泣き声がした
- バスの扉が開く音がした
もちろん、これら以外にもさまざまなトリガーが存在するでしょう。
教科書的なパニック削減の方法とは
それでは、自閉症の入門書で解説されているパニック削減の内容を見てみましょう。
パニックの主な原因とは以下のようなものがあります:
- 予期していないことが起きた
- 言葉が通じていない
- 自分の意思や要求が伝えられない
- 今どういう環境に置かれているかわからない
- 不快な刺激がある(音など)
普通、私たちは「パニックには必ず原因があるはずだから、それを突き止めて解決しよう」と考えがちです。しかし、その原因を具体的に特定することは困難な場合も多いです。
そのため、入門書ではパニックを誘発しやすい状況を避けることが推奨されています。ところが、具体的にどのようにそれらの状況を避けていくべきかについての説明は少ないのです。
このような書籍では他にも、自閉症の子どもを支援する方法が幅広く解説されています。それらの支援の多くを取り入れることで、パニックを引き起こす可能性が高い状況を適切に避けることが可能になります。(オススメの自閉症の入門書)
パニックや癇癪の発生を避けるための方法について
多くの入門書や解説書では、パニックを抑えるための支援策が各章やセクションに散在しています。
そこで、パニック発生を予防するための要点を集約し、1つのレポートにまとめ上げました。このレポートは自閉症の子どもを持つご家庭を対象としており、内容はわかりやすくまとめてあります。ぜひ、このレポートをご覧になってみてください。
あなたの家庭でも、パニックを起こさない支援ができます。
困った行動・パニック・癇癪の原因と対策については、こちらの記事をお読みください。
追伸
家庭でのパニックの原因と対策について、動画での解説を作りました。←こちらもご覧ください。
参考文献
[1] 「じょうずなつきあい方がわかる自閉症の本」、佐々木正美監修、主婦の友社刊行、2009年3月発行。
[2] 「自閉症スペクトラムの子どもたちをサポートする本」、榊原洋一著、ナツメ社刊行、2017年6月発行。
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