自閉症の子どもは視覚優位。聞いたことは消えるが、見ている物は頭に残る。

自閉症の子どもは視覚優位 スケジュール表

自閉症の子どもの特徴の一つは、言葉で言われたことは殆ど理解していなくて、見せられたことは良く理解できることです。この特徴は視覚優位と呼ばれます。

自閉症の子どもは視覚的学習者。聴覚情報vs視覚情報。

お母さんが言葉で、”ト イ レ” と言った場合、子どもは音の情報を聞き取って、それを”トイレ”と言う概念に変換して初めて”トイレ”と理解します。音の情報は残りません。直ぐに消えていきます。自閉症の子どもの場合、音の情報をうまく処理できません。

お母さんが、”トイレ”と言っても子どもが動かなければ、お母さんは”トイレ”、”トイレ”、”トイレ”と何度も言い続けるでしょう。子どもにとってうまく処理できない音の情報を、何度も何度も受け取っても、混乱が増えるだけです。

一方で、「トイレ」の絵カードを見せられた時は、子どもが見ている間はずっと「トイレ」の絵カードが見えています。見ている間は、ずっと頭の中に「トイレ」のイメージが在り続けるのです。

我が子は私が言ったことを、ちゃんと理解しているとは思わないでくださいね。次の図を見てください。

自閉症の子どもは視覚的学習者。聴覚情報vs視覚情報。

あなたは「手を洗ってから、おやつにしましょう」と言ったとしましょう。自閉症の子どもの頭には、好きな言葉は残りやすく、それ以外は消えていきます。おそらく子どもは「おやつが食べれる」と理解するでしょう。そして、子どもが直ぐにおやつを食べ始めたら、あなたは子どもを叱るに違いありません。子どもは言われたことの半分を理解して行動したのに、叱られてしまうのです。理不尽ですよね。

でも、「手洗い」と「おやつ」を絵カードを上下に並べて同時に見せると、子どもも正しく理解します。お母さんが見せて指示したことを正しく理解するのです。

自閉症の子どもは、聴覚情報の処理が苦手です。その反面、視覚情報の処理が得意です。そう言う特徴は、視覚優位と呼ばれます。また、自閉症の子どもは外からの情報のうち、10%は聴覚情報を利用し、90%は視覚情報を利用して理解していると言われています。自閉症の子どもは、視覚的学習者なのです。

自閉症の子どもは視覚優位

言葉が喋れる自閉症の子どもも、やはり視覚優位です。

あなたの言葉の指示に、子どもが従ってるからと言って、「私の言葉を理解した」と誤解しないでくださいね。

帰宅した時に「手洗いとうがい」とお母さんが言いました。子どもは、洗面所に向かいました。
言葉の指示を理解したのでしょうか? いつもやっている(やらされてる)行動に対して、「始めなさい」の合図を理解したのでしょうか?
お母さんが紙くずを子どもに渡して、ゴミ箱を指差しながら「ゴミ箱に捨てて」と言いました。子どもは、紙くずをゴミ箱に捨てました。
言葉の指示を理解したのでしょうか? お母さんが、ゴミ箱を指差したのを見て、ゴミ箱へと理解したのでしょうか?

上の例では、あなたが言葉で指示したことと、子どもが理解したことが、たまたま一致しただけです。

視覚優位という特徴のために、自閉症の子どもの支援は見せることが中心になっていきます

絵カードの見せ方次第で子どもは大きく変わります。
古林紀哉

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