私の三男は4歳の頃から地域療育センターに親子通園を始めました。その頃私は、自閉症のことも療育手法のこともほとんど知りませんでした。先生から指導されるがままに、色々やってましたね。三男が6歳の頃になって、TEACCH(ティーチと読みます)とABA(応用行動分析の略です)という名前の療育手法があることぐらいは知り始めました。
故佐々木正美先生が監修した「じょうずなつきあいかたがわかる自閉症の本」には、主な治療教育の方法として3つが載ってました。
- TEACCH(ティーチ):子供ではなく、環境の方を子供に優しくする手法。具体的には空間の構造化や絵カードの使用。
- ABA(応用行動分析):生活の行動を一つ一つ身につけさせる手法。具体的には良い行動は褒めて増やし、不適切な行動は無視して減らす。
- PECS(ペクス / 絵カード交換式コミュニケーションシステム):絵カードを使って要求のコミュニケーションを自発させる手法。
※各手法の概略は、私が意訳したものです。
TEACCHもABAも、たくさん本が出ていました。一冊読んでも、内容がよくわかりません。巷では、TEACCHとABAのどっちが効果があるのか?と言った議論もありました。
私も、子供に合わせてどれか一つの療育方法を中心に置いて置くべきだと考えていました(後に、それは誤りであると悟りました)。
自閉症スペクトラムの療育方法は、いろんな名前の物を耳にすると思います。例えば、感覚統合療法、ムーブメント療法、遊戯療法、音楽療法、認知発達療法、行動療法、構造化、などなど。
三男が14歳の頃だったと思います(この記事を書いている時、三男は18歳です)。私は、いろんな療育方法はどうやら3つのグループに分類することができると感じました。
- ABA(応用行動分析)の原理を基にしている方法
- 見せることを中心にしている方法
- 胡散臭い方法
胡散臭いと言うと、その療法の関係者には失礼ですね。でも私はそう感じていました(今は違いますよ)。三男は不適切行動が深刻だったので、行動をなんとかしてくれる療法にばっかり私の目が向いてましたからね。
そしてTEACCHも分解していくと、核心の部分は、見せることでルールを教えている手法に行き着きました。TEACCHって内容がとても広いのですよ。よく、TEACCHが構造化を提唱したと言われます。その構造化も内容がとても広いです。構造化の中に、時間の構造化があります。その部分がスケジュールと視覚支援です。具体的には、朝の支度や午後の活動に絵カードを利用したスケジュールを使ったり、絵カードを利用した週間カレンダーを使ったりします。
自閉症スペクトラムの療育方法の3大手法はこの3つです。
- ABA(応用行動分析)
- スケジュールと視覚支援
- 感覚統合
もっと重要なことも発見しました。以前は療育手法に良い悪い、効く効かない、合っている合っていない、と言う優劣があると思っていたのですが。そうではなく、この3つが全て必要だと言うことを悟りました。
そして、それぞれの支援の基本は、
- ABA(応用行動分析):褒めて伸ばす。
- スケジュールと視覚支援:見せて説得する。
- 感覚統合:刺激を遮断する。
と言うことなのです。
前回の記事で、自閉症スペクトラムの子供の特徴(困り事)を3つにグループ化しました。
前回の内容と今回の内容を連結してみましょう。
- 知的な遅れは、褒めて伸ばそう。基礎となる手法は、ABA(応用行動分析)。
- 社会的な問題は、見せて説得しよう。基礎となる手法は、スケジュールと視覚支援。
- 感覚の問題は、刺激を遮断しよう。基礎となる手法は、感覚統合。
この3つの輪で支援をしていくと、具体的な方法が考えやすくなります。そして支援が長続きします。支援が継続すると、子供は自然に成長していきます。
子どもの成長と家族のゆとりのために!
古林紀哉
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