自閉症のお子さんの家庭療育ミニ講座
ABA(応用行動分析)の手法は、自閉症の子どもの療育や支援にとても役立っています。子どもの認知能力はスキルを高めるには欠かせません。
今回はABAの歴史を少しだけ振り返って、どうしてABAが大躍進したのかをお話しします。
行動のABC
この図は、ABA(応用行動分析)では基本中の基本です。また、自閉症支援でもとても大切なフレームです。
行動の直前 | 行動そのもの | 行動の直後 | |
---|---|---|---|
専門用語(英語) | Antecedent | Behaior | Consequence |
専門用語(日本語) | 先行事象 先行子 | 行動 | 後続事象 強化子 |
優しい言葉だと | きっかけ | 行動 | ご褒美や罰 |
行動の直後にご褒美などの良いことがあると、その後その行動の頻度は徐々に増していきます。実は、このことはABA(応用行動分析)が発達する前から知られていました。【効果の法則】と呼ばれました。
では「良いこと」とは何でしょうか?
効果の法則:ABA(応用行動分析)の発達以前
効果の法則を簡単に説明すると、
何か行動を起こした時、その直後に良いことが起こると、例えば:
- 褒められる
- 好きなことができる
- ミニカーがもらえた
- 食べ物が出てきた
などですね。
すると、その後その行動の頻度は徐々に増していきます。
あれっ?
ABA(応用行動分析)の強化原理と同じじゃないかと・・・。
同じように思えるでしょ。では、次を読んでください。
逆転の発想から生まれた強化原理
それでは、良いこととは何でしょうか?
ご褒美? お金? ままごと? 成功体験?
それらって時と場合によって違ったり、人によって違ったりしませんか? 成功と一言で言っても、行動分析の研究者に言わせると、その定義がしっくりいかなくて難しかったそうです。
ここで発想の転換がありました! コペルニクス的展開かな(*^o^*)
行動の直後に起こると、その行動の頻度が増すようなものを「良いこと」と定義したのです。私たちの常識で、良いこととか成功を定義するのをやめました。良いかどうかは、行動の頻度が変化するかどうかで判断したのです。
「良いこと」と呼んでしまうと誤解が生まれるので、それを【強化子】と呼ぶことになりました。中には、行動の頻度を減らすものもあるのですが、それも【強化子】です。
このような、【強化子】の考え方(逆転の発想)により客観性が生まれ、ABA(応用行動分析)は学問として急速に発達したのです。効果の法則は、強化原理へと生まれ変わったのです。
でも、強化子に2通りあると紛らわしいので、日本の自閉症療育の世界では、行動の直後に起こると、その行動の頻度が増すようなものを【好子】(こうし)。その行動の頻度が減るようなものを【嫌子】(けんし)。とそれぞれ呼びます。
好子の代表例が、食べ物、褒めること、タッチしてあげること、などです。
嫌子の代表例が、体罰、叱ること、などです。
ABAによる自閉症療育では、好子を使って、子供のスキルを養っていくんですよ。
今日は、好子が子供のスキルを養う重要な働きをすることを覚えてください。
「よしこ」とは読みませんよ。
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