自閉症のお子さんに身につけてほしい、生活スキルはたくさんあります。
たくさんというよりも、生活スキルというものは全て身につけてほしいものですよね。
それでも全部というわけにはいかないので、もしお子さんが出来なかったら誰かが代わりにやってあげなければならないことを優先して教えるのが効率的です。
例えば:
- カップラーメンを食べるスキル
- 歯を磨くスキル
サラッと書いていますが、どちらも単純ではありません。
それらは、複数の行動から成り立っています。
カップラーメンを食べるならば:
- フォークを持つ
- フォークを麺に挿す
- フォークに麺を絡める
- フォークをカップから上げる
- フォークを口に近づける
- フォークを口の中に入れる
- フォークを口から離し
- 麺を口に残す
- 食べる
歯を磨くならば:
- 歯ブラシを持つ
- 歯ブラシを蛇口の下に近づける
- 蛇口をひねる
- 蛇口を閉じる
- 歯磨き粉を持つ
- 歯磨き粉のキャップを外す
- 歯ブラシに歯磨き粉をつける
- 歯磨き粉のキャップを閉める
- 歯ブラシを口の中に入れ
- 左上の奥歯の外側を磨く
1、2、3、、、、 - (途中省略)
- 歯ブラシを洗う
- 蛇口を閉める
- 歯ブラシを戻す
このように複雑な行動を、一つ一つの行動に分解して、一つ一つ教えていくことを、【行動連鎖】と言います。英語で言うと、チェイニング、です。
一連の行動を分解して、個別の行動のつながりにしてしまえば、戦略的に教えることができるんです。
戦略的というのは、まあ、効率的にとか簡単にとか、そんな意味合いもあります。
分解した時に、お子さんが出来ない行動を重点的に教えていけばいいわけです。
単純なのは、
そのスキルをお子さんにやらせてみて、つまずいたところで、指導者が声かけや手を添えるなどのプロンプトをして、その部分の行動を成功させます。そして次の行動に移り、指導者がプロンプトを続けながら、最後の行動をクリヤーさせます。
この戦略を【順行連鎖】と言います。英語で言うと、フォワード・チェイニング、です。
その逆に、最初から最後の一歩手前までプロンプトをしながら行動を進め、最後の行動だけをお子さんの自力でやらせます。そしてお子さんは欲しいものをゲット! うまくできるようになったら、次は、最初から最後の二歩手前までをプロンプトしながら行動を進め、最後の一歩手前の行動をお子さんの自力でやらせ、そして最後の行動も自力でやらせます。そしてお子さんは欲しいものをゲット!
うまくできるようになったら、その次は、最初から最後の散歩手前までをプロンプトしながら行動を進め、そのあとはお子さんの自力でやらせます。そしてお子さんは欲しいものをゲット!
この戦略を【逆行連鎖】と言います。英語で言うと、バックワード・チェイニング、です。
バックワード・チェイングは複雑に見えますが、やってみると、フォワード・チェイニングも、バックワード・チェイニングも指導者にテクニックは必要なく、簡単です。コペルニクス的展開ってコトですかね。
ところが、バックワード・チェイニングを使うと、お子さんは早くスキルを身につけることが、とても多いです。
「出来るところまでやらせる」、よりも
「最後の仕上げをお子さんに」の方が、
教えるのが楽なことが多いのです。
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