提示物のレイアウト規則

私たちが、景色や写真を見た時は、真ん中の物や人物に着目します。そして私たちは、他の人や子どもも同じように、真ん中の物や人物に着目すると思っています。当然のようにそう思っています。ところが、自閉症の子どもは景色や写真を見た時に、端っこの物や人物以外の物に着目します。だから、自閉症の子どもに何かを見せた時、子どもがどこに着目するかは予測がつきません。

予定表を見せた時も同じことが起こります。私たちは予定表を見た時にその内容を理解します。そして、他の人や子どもも同じように、その内容を理解していると思っています。当然のようにそう思っています。ところが、自閉症の子どもは、同じ予定表を見てもその内容を理解するとは限りません。むしろ、私たちが普通に使う予定表を自閉症の子どもは理解できないと考えるべきです。

でも安心してください。ある一定のルールを設けると、自閉症の子どもも私たちの意図どうりに予定表の内容を理解します。

どんな見せ方なら予定や指示が一意に伝わり、どんな見せ方をすると予定や指示が曖昧なのかをお母さんや支援者が一々考えていると、やってられません。

そこで、予定や指示が一意に伝わる見せ方をまとめたものが、提示物のレイアウト規則です。レイアウト規則に従って行動支援ボードを使うと、子どもに教える時の失敗が少なくなります。

健常の子どもの場合、このレイアウト規則に従わなくても、お母さんや支援者の意図を理解することができます。レイアウト規則は、自閉症の子どもの特徴(というか弱点)を考慮して設計された規則です。もちろん、このレイアウト規則は健常の子どもにとってもわかりやすい見せ方です。

順番は上から下(または、左から右)

順番は上から下に流れるのが自然です。行動支援ボードでもスケジュールの絵カードを貼るときは、予定が上から下になるようにします。

横方向で順番を示すときは、左から右へ絵カードを配置します。

大人は、横方向に並んだ順番を見たときに、一つ一つの内容や、絵カードの振られた番号を手がかりに、左から右なのか、右から左なのかを判断できます。方向の判断を子どもにさせてはいけません。「左から右へ」と決めておくことで、誤った解釈を避けることができます。

方向が逆「右から左へ」であっても構わないと思うかもしれませんが、それは違います。既に日本を含めて世界中の指導者が「左から右へ」を採用しています。標準の指導方法と同じことをすることが重要です。最も早くは、米国ノースカロライナ大学TEACCH部が「左から右へ」の統一的ルールを採用しました。この統一的ルールは、自閉症児の自立課題を設計するときのタスク・オーガナイゼーション (task organization) の中に登場します。

1日内のスケジュールは縦。カレンダーは横。

「上から下へ」の縦方向と、「左から右へ」の横方向では、縦方向の方がより自然です。スケジュールの流れは縦方向を優先します。日常生活で横方向を使うことが多いものは横方向を使います。

1日内のスケジュールは縦方向、カレンダーは横方向を目安にしてください。

スケジュールは7項目以下(終わりがある)

スケジュールには終わりがあることが重要です。行動支援ボードやスケジュール表では、始まりから終わりまでが、同時に視界に入るようにしましょう。

1メールもあるスケジュール表を使ったり、10枚以上の絵カードを並べると、最後の絵カードが目に入りにくくなります。すると子どもは途中の活動にメリハリが無くなります。

スケジュールは7項目以下がいいでしょう。

終わった行動の絵カードは、取り除く

行動支援ボードには、今やるべき行動の絵カードを示す役割があります。「さっきここまでやった」という記憶に頼らず、行動支援ボードから見える情報だけで、今やるべき行動の絵カードを示すことが大切です。

終わった行動の絵カードを外すことを徹底してください。

終わった行動の絵カードが外されていると、今やるべき行動は、必ず一番上に現れます。子どもには、「一番上の絵カードを見なさい」と教えます。こうすることで、記憶に頼ることなく、また残っている絵カードの内容を考慮することなく、今やるべき行動が特定されます。

行動支援ボードには、外した絵カードを入れるための終了ボックスを必ず取り付けてください。終了ボックスがないと、外した絵カードを片付ける場所に困ります。終了ボックスを取り付けないと、子どもは終わった行動の絵カードを外さなくなります。すると、一番上の絵カードを見ても、今やるべき行動ではなくなり、子どもへの行動支援ができなくなります。

従来のスケジュール表の場合、一つの行動が終わったときにその行動に線を引いて消し込んだり、丸磁石などの目印を次の絵カードへずらしたりすることもありました。これらの方法でも、今やるべき行動の絵カードを示すことができました。しかし、最も分かりやすく示す方法は、終わった行動の絵カードを外すことです。

カレンダーでは、今日を明確に

カレンダーを使う場合、今日がとても重要です。日付や曜日の感覚に頼らずに、カレンダーから見える情報だけで、今日を示すことが大切です。

カレンダーでは今日の位置に、はっきりわかる目印をつけてください。日付が変わる時には、その目印の次の日のところにずらしてください。

実行中スケジュール以外のスケジュールは見せない

例えば、朝の支度のスケジュールと、午後の予定のスケジュールがとても近くに並んでいると、子どもは混乱します。

現在進行中のスケジュールの近くには、別のスケジュールを置かないようにしましょう。近くに置く場合には、別々のボードを使ってください。

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