視覚的行動支援

目次

全体像(このページ)

1. 支援者の行動原則と提示物のレイアウト規則
2. 行動支援ボード(スケジュール表)の教え方
3. 望まれる行動を増やし、問題な行動を減らす方法 【執筆中】

全体像

視覚的行動支援とは、スケジュール表や絵カードを使って、自閉症児者の望まれる行動を増やし、問題な行動を減らす方法です。自閉症の支援方法として実績のある「構造化」の中で、特に効果の大きい部分を切り出したのが「視覚的行動支援」です。

その部分は元々、「スケジュールと視覚支援」と呼ばれていました。だから、「視覚的行動支援」は新しい方法ではありません。元々、効果の高い方法として知られていました。スケジュール表は子どもに見通しを立ててあげるだけではありません。スケジュール表を日常的に使うと、お母さんや支援者を悩ませるパニックや癇癪は激減します。

視覚的行動支援は、私が初めて使い始めた用語です。それには理由があります。私はスケジュール表の効果と教え方を行動分析学の原理を用いて、まとめ直しています。視覚的行動支援と聞くと、なにやら小難しい印象を受けますが心配しないでください。ちゃんとした原理を使ってまとめ直しているので、普通のお母さんや専門知識のない指導者でも簡単に理解できます。そして、まとめ直しをしたことで、2つの良いことがありました。

  1. お母さんや支援者は、スケジュール表を教えるのが簡単になりました。言い換えると失敗することが少なくなりました。
  2. 問題な行動の対処に、スケジュール表を活用できるようになりました。これまでの方法よりもより簡単で、より効果があります。

私のまとめ直した方法は、「スケジュールと視覚支援」と聞いてみなさんがイメージする方法よりも、より具体的でかつ適用範囲も広がっています。だから、新たに「視覚的行動支援」という名前をつけました。

自閉症支援の中での視覚的行動支援の位置づけ

自閉症の特徴をごく簡単にいうと

  • 知的な遅れ
  • 問題な行動
  • 感覚の異常

の3つを併せ持っていることです。

50年以上の世界中の自閉症研究者の努力により、3つの療育手法が確立しました。(数々の療育手法がありますが、大きな柱は3つです。)

  • ABA療育(応用行動分析による訓練)
  • 構造化(その中でも中心的なのが「スケジュールと視覚支援」)
  • 感覚統合(運動的な訓練)

この3つの療育手法のうちどれが優れているか?とは考えないでください。3つとも必要です。どの療育手法に重点を置くべきかは、子どもの成長とともに変化します。

自閉症の3つの特徴に対する療育方法あるいは支援方法は次のようになります。

自閉症の特徴 療育方法または支援方法
知的な遅れ ABA療育
問題な行動 応用行動分析
環境の分析と改善
スケジュールと視覚支援
視覚的行動支援
感覚の異常 感覚統合
刺激を遮るグッズ

これまで、自閉症児者の問題な行動を減らすには、「応用行動分析」「環境の分析と改善」「スケジュールと視覚支援」の方法があり、バラバラで行われてきました。

「応用行動分析」と「環境の分析と改善」はその実施に高度な知識が必要なわりには、効果は小さいものでした。「スケジュールと視覚支援」は効果が大きいのに、その仕組みが曖昧だったために、すぐには効果を出せませんでした。

ちょっと用語が難しくなりますが、それぞれの方法をまとめると次の表のようになります。

問題な行動の抑制 主な指示 仕組み
応用行動分析 言葉による指示
(言語的刺激)
行動分析学
随伴性形成行動
環境の分析と改善 様々
<難しい>
様々
<難しい>
スケジュールと視覚支援 見せて理解
(視覚的刺激)
経験則
ルール支配行動
視覚的行動支援 見せて理解
視覚的刺激
行動分析学
ルール支配行動

「視覚的行動支援」は、「応用行動分析」と「スケジュールと視覚支援」を合わせたような支援方法です。

でも、視覚的行動支援は「応用行動分析」よりも簡単で強力です。そして、視覚的行動支援は「スケジュールと視覚支援」よりも具体的で確実です。

視覚的行動支援の構成

視覚的行動支援は3つの段階から構成されます。

  1. 支援者の行動原則と提示物のレイアウト規則
  2. 行動支援ボード(スケジュール表)の教え方
  3. 望まれる行動を増やし、問題な行動を減らす方法

自閉症児者は健常児とは違つた特性を持っています。健常児には理解できるけれど、自閉症の子どもはうまく理解できない指示があります。健常児は理解できるけれど、自閉症の子どもはうまく理解できない見せ方があります。

そのため、お母さんや支援者は日頃から自閉症児者が理解できる指示だけ、理解できる見せ方だけをする必要があります。それをまとめたのが、第1章の「支援者の行動原則と提示物のレイアウト規則」です。ここでは、最低限必要な行動分析学の原理と視覚的認知の知識をわかりやすく解説します。行動原則とレイアウト規則を守らないと自閉症の子どもにスケジュール表の使い方を教えることはできません。

第2章は「行動支援ボード(スケジュール表)の教え方」です。行動分析学の原理と視覚的認知の知識に基づいて解説しています。これまでのスケジュール表よりも使い方のルールを厳格にしています。教え方はより具体的です。初めてのお母さんや知識の少ない支援者の方でも失敗が少なくなります。そして、確実な効果を早く出すことができます。

教え方のルールを具体的に定めたので、スケジュール表という呼び方はやめて、「行動支援ボード」と呼ぶことにしました。教え方のルールが厳しくても心配はありません。支援者によっては教え方にブレが出ることを想定して解説しています。多少は教え方が違っても子どもはちゃんと理解してくれるでしょう。

日頃から行動支援ボードを使っていると、家族や支援者を悩ませるパニックや癇癪は自然となくなっていきます。

第3章は「望まれる行動を増やし、問題な行動を減らす方法」です。第2章までで、子どもの問題な行動は自然に少なくなっていきます。第3章では、特定の問題な行動に対して、積極的のその行動を減らす方法を解説します。行動分析学の原理をうまく組み合わせながら、行動支援ボードを使って問題な行動を減らします。

練習と支援の違い

私は、練習(または訓練)と支援を明確に区別しています。

例えば、子どもがある事ができないとしましょう。そして、その事が出来るようになるのが目標です。

練習(または訓練)では、その事を何度も子どもにやらせます。そして、その事が出来るようになったら、もう練習はやりません。練習をやめても出来るようになった時、その事が出来るようになったと言います。

一方、支援では、その事を人の助けを受けて、または、グッズを使って子どもが出来るようにします。支援を受けながらその事が出来るようになった時、その事が出来るようになったと言います。

ABA療育や応用行動分析の手法は、練習なんですよね。練習なしで出来るようになる事が目標です。自閉症児の知的な遅れに対しては、練習をして能力をあげます。

スケジュールと視覚支援や視覚的行動支援は、その名前が表す通り、支援なのです。スケジュール表(や行動支援ボード)が使えるようになる練習はします。でも、スケジュール表を使わないでもちゃんとやっていける練習はしません。そんな練習はしないでください。スケジュール表(や行動支援ボード)を使って、ちゃんとやっていける事が目標です。一人でスケジュール表(や行動支援ボード)が使える事が目標です。

問題な行動を減らす応用行動分析の手法は、いわば練習の手法です。練習の手法で、自閉症の子どもの問題な行動が減った試しはありません。

古林紀哉

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1. 支援者の行動原則と提示物のレイアウト規則
2. 行動支援ボード(スケジュール表)の教え方
3. 望まれる行動を増やし、問題な行動を減らす方法 【執筆中】