自閉症の子ども向けスケジュール表の教え方マニュアル(初級編)

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自閉症の子ども向けスケジュール表の教え方マニュアル(初級編)

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もうスケジュール表で失敗することはありません!

自閉症の子どもにスケジュール表を使うとこんなことがよく起こります。

  • スケジュール表をどこから教えるのかわからない。
  • スケジュール表を使っているが、子どもが動かない。
  • スケジュール表の効き目を実感できないので、やめてしまった。

このマニュアル初級編では、ご家庭のお母さんや指導者の方のそんな悩みを解決し、子どもの生活を助けてあげる重要なポイントお伝えします。あなたがそのポイントを押さえると、

  • 最初に何からスケジュールを教えるのが良いかが、わかります。
  • なぜ、今の使い方で子どもが動かなかったのかが、わかります。
  • もう一度、スケジュールを使ってみようという希望がわきます。

なぜ多くの方が、スケジュール表をうまく使えなかったのでしょうか? その理由は、

  • 指導書や資料では、子どもがスケジュール表に慣れていく途中が書かれていません。
  • こうすれば失敗する」と書かれた指導書や資料が存在しません。

そして、何度も失敗してコツをつかんだお母さんや指導者だけが、スケジュール表をうまく使えるようになったのです。あなたには、試行錯誤している時間がもったいないので、私が失敗しない教え方の最重要ポイントを3つお伝えします。

スケジュール表の基礎知識

まず、自閉症の子どもの特性を一つだけ覚えてください。とても重要な特性です。

“自閉症の子どもは、頭の中で優先順位をつけることが苦手です。”

それでは、スケジュール表の使い方に入ります。

スケジュール表の使い方

準備する道具:
スケジュールボード
絵カード(スケジュールボードに貼れること)
終了ボックス(終わった絵カードを入れる箱)

絵カードの並べ方
上から順番に、活動を並べます。
例えば、「起きる」「顔を洗う」「トイレ」「着替え」、、、。

使い方
子どもに一番上の絵カード取らせて、終了ボックスに入れさせます。
そして、その絵カードに書かれた行動を子どもにさせます。

慣れてきたら
朝のスケジュール、午後のスケジュール、一週間のスケジュール、
という具合に、広げていきます。

実は、上のように教えてあげると、子どもはスケジュール表の通りに行動するようになるんです。しかし、お母さんや指導者は上の通りには教えません。「ここは出来ているから」と甘く見て、すぐに省略して教えます。そして失敗パターンに落ちてしまうのです。

最重要ポイント1: 教える順番

スケジュールを教え始める順番:
1. 朝のスケジュール
2. 午後のスケジュール
3. 一週間のスケジュール(カレンダー)

スケジュールの段階:
フェーズ1. 活動の順番は目に見える、ことを教える。
フェーズ2. スケジュール表の通りに予定が進む、ことを教える。
フェーズ3. 予定は自分で決めてもよい、ことを教える。

失敗パターン: 書籍やセミナーで「スケジュール表を見せると、その通りに子どもが動く」ことを知っている指導者が、初めからスケジュール表を見せて子どもを動かそうとする。すなわち、いきなりフェーズ2から開始してしまう。

自閉症の子どもは、最初はスケジュール表が何であるかがわかっていません。徐々に教える必要があります。そのために、子どもの頭の中の順番と同じものをスケジュール表で見せてあげて、順番は見えるということを教える必要があります(フェーズ1)。その例が、朝のスケジュールです。

次の段階(フェーズ2)は、いわゆる予定変更です。午後は毎日活動が同じではなく、迎えに来る人が違う日、急な買い物がある、などいつもの流れに少しだけ変更が入ります。その変更をスケジュール表で示してください。子どもは、スケジュール表の通りに予定が進むことを覚えます。

失敗パターン: スケジュールの内容を指導者だけが決めて、子どもに絵カードを貼らせない。すなわちフェーズ3に進ませない。

最後の段階(フェーズ3)は、子ども自身にも予定を決めさせることです。お母さんや指導者にスケジュール表で指示されてばかりだと、子どもはスケジュール表が嫌になってきます。子ども自身がやりたいことを自分でスケジュール表に貼らせてください。子どものモチベーションがあるとスケジュール表の効き目も大きくなります。

自閉症の子どもは、頭の中で優先順位をつけることが苦手なので、順番は見えるということを教えてあげてください。

最重要ポイント2: 一目瞭然

一目瞭然を保つポイント:
終わった絵カードはスケジュール表から外す(文字ならば、線で消し込む)
今(今日)のところに目印をつける

最初に見る場所:
一番上 (縦のスケジュール)
一番左 (横のカレンダー)
目印のあるところ    

失敗パターン: スケジュール表で絵カードが貼りっぱなし。どこが今の活動かがわかりません。

失敗パターン: 終了ボックスがない。剥がした絵カードを置く場所がないので、いつしか、絵カードを剥がさなくなります。そして、次の活動がどれかがわからなくなります。

失敗パターン: カレンダーで今日の印がない。今日がどこかがわかりません。

些細なことに見えますが、一番多い失敗です。そして、自閉症の子どもにとって、どこを見ていいかがわからないというのは、致命的な失敗です。

自閉症の子どもは、頭の中で優先順位をつけることが苦手なので、スケジュール表の上で見るべき箇所を一目瞭然にしてあげてください。

最重要ポイント3: カードの意味

カードの意味が理解できるまで:
最初に見た時は、カードと活動は紐付いていない。
何度か使っていると、カードの意味がわかってくる。

失敗パターン: 絵カードを最初に見せて、子どもが理解しなかったので、その子どもにはスケジュールが役に立たないと、考えてしまう。

失敗パターン: できるだけ実物に似たイラストを探しているうちに、絵カードが出来ない。

例えば「朝ごはん」としましょう。どんなに、いつもの朝ごはんと似ているイラスト、写真であっても、ちゃんと”あさごはん”と書いてあっても、初めてそのカードを子どもが見た時は、朝ごはんを食べることどうとは紐付いていません。そのカードを何回か使い続けてください。すぐに、カードの意味がわかってきます。イラストが下手でも、心配いりません。

そして、子どもが自分で絵カードを剥がして、その行動をしていると(最初できなければ、お母さんが手添えで子どもが絵カードを剥がすようにしてください。)すぐに、絵カードの意味と行動が紐付いてきます。

以上の最重要ポイント3つを守ると、スケジュール表は自閉症の子どもにとって、生活を助ける力強い道具になります。

子どもの成長と家族のゆとりのために

古林紀哉

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コメント

  1. 高橋美穂 より:

    こんにちは。
    視覚支援を始めてから1ヶ月程がたちまさした。
    2年生になり環境の変化にもめげず子供も頑張ってくれています。

    視覚スケジュールを始めて最初は順調にできていたのですが、慣れてくると絵カードを外さなくなり…
    こちらの誘導にも耳を傾けなくなり…最近は停滞しています。

    これでは…と思うのですがどうしてよいものかと思うだけでなかなか上手くいきません。
    設置場所がダメなのかな?とか、ボートをもう一枚増やさなきゃいけないかな…?など
    せっかく一大決心して購入したのにと悲しくなってしまいます。

    後、古林さんがサイトで書かれているように(自分でスケジュールを決めさせる)という事なのですが、全て時間から内容まで決めさせてよいものかなのですか?
    若干?というかものすごく心配なのですが…
    とんでもないスケジュールになったりするのが怖くてなかなか実行できていません。

    これが失敗のもとなんでしょうか…?

    • 古林 紀哉 より:

      高橋さん、こんにちは古林です。
      順調なスタート、素晴らしいですよ。

      「慣れてくると絵カードを外さなくなり…」
      そうなんです。毎日決まったルーチンワークのスケジュール表は、スケジュール表の必要性が少なくなるのです。
      帰宅後の午後から寝るまでのスケジュールを中心にして見てください。午後は変化が起こりますからね。

      スケジュール表というのは、お子さん自身がやりたいことと、お母さんがやらせたいことの調整結果を見える化したものなのです。もし、お子さんのやりたいことばかりの内容ならスケジュール表は必要ないです。もし、お母さんのやらせたいことばかりの内容なら子供にとって嫌いな予定表になります。
      スケジュール表は、お母さんが骨子を決めるんだけど、お子さんも自分のやりたいことを加えることができる、というのが心地よい使い方です。

      「こちらの誘導にも耳を傾けなくなり」
      というのは、お子さんにとって、スケジュール表に従うメリットがない、ということが経験から感づいたからです。予定の最後には、お子さん自身のやりたいことも入っているスケジュールというのがワクワクするスケジュール表です。

      そろそろ、中級編のスケジュール表の教え方を書く時期かな、と思い始めました。