支援者の不手際

ここでは、行動支援ボードを教える時に、お母さんや支援者がやりがちな典型的な不手際を紹介します。不手際なやり方を続けていると、支援効果がガタ落ちになります。ぜひ、そうならないように気をつけてください。

  • 最初に子どもがボードや絵カードで遊び始めたので、それをやめさせた。
  • いきなり、てんこ盛りの内容から始めた。
  • 上手くいかなかったので、もう一度子どもにやらせた。
  • 子どもが行動したのに、支援者はほったらかし。
  • 子どもにやらせることが、いつも同じ内容。
  • 行動支援ボード上に貼った絵カードの行動をやらせなかった。(支援者が約束を破った)
  • 必要な絵カードが足らない。
  • 支援者本位で、子どもの楽しみがない。

最初に子どもがボードや絵カードで遊び始めたので、それをやめさせた。

ボードを用いた行動支援で最も大切なことは、子どもと行動支援ボードが仲良くなることです。意味を理解するのはその次の段階です。

最初にボードや絵カードを見た時に、子どもが手にとって遊び始めたことは、とても良いスタートです。飽きるまで遊ばせてあげても大丈夫です。

ちゃんとボード上に並んでいた絵カードで遊んでいるのを見かけても、そのまま見守ってください。遊び終わったら、お母さんがまた元のとうりに絵カードを並べておいてください。

そのうち子どもは、行動支援ボードに並んでいる絵カードでは遊ばなくなります。それは、子どもが順番を理解し始めたという表れです。

いきなり、てんこ盛りの内容から始めた。

行動支援ボードを始めた時は、子どもは、それが何を意味しているのかわかっていません。朝の支度と午後の予定とカレンダーを同時に初めても、子どもに変化は現れないでしょう。

自閉症の子どもは、変化のある順番が苦手です。だから、少ない内容、変化の無い内容から、徐々に始めてください。朝の支度から行動支援ボードを始めるのが最適です。

ステップを踏んで教えていくと、長いスケジュールでも、多い予定のカレンダーでもちゃんと理解できるようになります。

子どもの年齢には関係ありません。成人の自閉症者でも、最初からのステップを踏んでください。

上手くいかなかったので、もう一度子どもにやらせた。

初めて教える内容は、子どもが上手くいくように、お母さんや支援者が手添えをして教えてください。なるべく、子どもには失敗させないようにしましょう。そして、(たとえ手添えをしても)子どもが上手くできたら、直ぐに褒めてあげてください。出来たことを褒めるのが、子どもが上達する唯一の方法です。

もう一度子どもにやらせて上達させる方法もありますが、それには専門技術が必要です。お母さんや支援者がその専門技術を身につけるよりも、手添えをしてあげた方が子どもは早く上達します。

今回うまくいかなかったら、次回にお母さんが手伝ってあげればいいじゃ無いですか。

子どもが行動したのに、支援者はほったらかし。

子どもが行動支援ボードの前に行ったら、褒めてあげましょう。子どもが絵カードを起こしたら、褒めてあげましょう。子どもがその絵カードの行動が出来たら、褒めてあげましょう。子どもがその絵カードを終了ボックスに入れたら、褒めてあげましょう。毎回褒めてあげましょう。

一度や二度、褒めるのを忘れても構いません。しかし、その後褒めることをしないでいると、子どもはその行動が出来なくなります。これまで出来ていたことが、出来なくなります。もっと悪いことに、その理由がお母さんや支援者には見当たりません。するとお母さんや支援者は、間違った支援を初めてしまいます。

子どもが行動した直後を見逃さないようにしましょう。

子どもにやらせることが、いつも同じ内容。

行動支援ボードを使って子どもにやらせる内容がいつも同じだと、だんだんと子どもは行動支援ボードを見なくなります。行動支援ボードを見なくても、順番通りにできるかもしれません。しかし、そのうち順番を飛ばすようになります。このような状態は、俗に、「スケジュール表の賞味期限切れ」と呼ばれます。

内容がマンネリにならないように、時々は、順番を変えてください。そうすれば、また子どもは行動支援ボードを見ながらスケジュールをこなすようになります。

また、順番を変えることが出来ないスケジュールで、行動支援ボードを見なくてもいつも順番通りにできるなら、そのスケジュールを行動支援ボードでやらせることはもうやめましょう(例えば、朝の支度の行動支援は、止めてもいい時期がきます)。目には入るけれども、変化のないスケジュール表を掲示し続けると、人間の脳は変化のないものを無視するようになります。その変化の無いスケジュールだけでなく、他の変化のあるスケジュールに対しても、行動支援ボードの効き目が少なくなっていきます。ただし、「行動支援ボードを見なくても、できるようになること」を目標にしてはいけません。時々、順番を変えてください。

行動支援ボードで内容に変化がなくなったら、要注意です。

行動支援ボード上に貼った絵カードの行動をやらせなかった。(支援者が約束を破った)

子どもにとって、行動支援ボードに貼られた自分の好きな行動は、自分がやっていいことが保証された行動です。やることが保証されているからこそ、その時まで子どもは待てるのです。その時になって、子どもにやらせなかったら、何度も何度もやろうとするでしょう。もしも、お母さんや支援者がそれをやらせなかったら、おそらくパニックや癇癪を起こすでしょう。そして子どもは、行動支援ボードの通りにやっていっても、見たとうりにならないということを学んでしまいます。そうなると、もう行動支援ボードは効き目がなくなります。

支援者が守れない約束をしてはいけません。子どもがやりたいことをずっと後にさせることは構いません。約束したその時が来たら、必ずやらせてください。

必要な絵カードが足らない。

行動支援ボード上の一連のスケジュールの中で、重要な絵カードが欠けていると、効き目はガタ落ちになります。

スケジュールの実施中は、とにかく重要な絵カードが抜けないように、手書きでも仮でもなんでもいいので、とにかく絵カードを用意してください。そして、時間のある時にその絵カードを作ってください。

お母さんや支援者が、絵カードを増やす時は、増やそうと思った絵カードに加えて、関連しそうな絵カードも一緒に作っておくことをオススメします。絵カード作りは大変なので、一旦作る作業に取り掛かったら、ちょっと余分に絵カードを作っておきましょう。手持ちの(ストックの)絵カードが多い方が、ちょっとした時に、お母さんにも子どもにも役に立ちます。

支援者本位で、子どもの楽しみがない。

行動支援ボードにちょっと慣れたお母さんや支援者が一番やりがちなことです。行動支援ボードを使うと子どもの生活行動がかなり楽になります。そして、お母さんは家庭内の秩序を保つために、子どもの生活行動の指導ばっかりになるのです。すると子どもは、だんだんと行動支援ボードに従うことが負担になっていきます。

子どもが楽しみにしている行動も行動支援ボードに貼ってあげてください。絵カードセットには、子どもの楽しみになる絵カードは少ないのが常です。ここはお母さんや支援者も頑張って、子どもの好きなおもちゃ、好きな活動、行きたい場所の絵カードを作ってあげてください。