感覚統合療法とは – 自閉症の療育手法

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感覚統合療法の概要

感覚統合療法とは、米国の作業療法士ユアーズが提唱した「子どもの神経学的プロセスに応じて、感覚刺激を与え、適応反応を引き出す」療法です。訓練では、ブランコ、吊り下げ遊具、スクーターボード等を使い、子どもに前庭刺激を与えます。感覚統合療法では、自閉症や学習障害の子どもが、手先が不器用である、姿勢をしっかり維持できない、動作が緩慢であるといった運動面の障害に着目し、運動と知覚の関係を神経生理学見地から分析し、認知・学習・社会的適応性の獲得を目指します。日本には1980年代に紹介され、2000年頃には多くのリハビリテーション機関で実践されるようになっています。

感覚統合の理論

感覚統合とは、一定の感覚入力が他の感覚情報と共に適応反応を誘発していく脳の神経プロセスである。感覚には、前庭感覚(平衡感覚)、固有感覚、触覚、聴覚、視覚、味覚、臭覚があり、感覚統合では体性感覚(前庭、固有、触覚)に焦点が当てられ、体性感覚系は通常は無意識下レベルで自動的に調整される感覚である。発達とは、より低いレベルの機能がより高いレベルの機能を支え、より高いレベルの機能に統合され制御される。神経生理学的な発達では、身体レベルの発達は無意識に自然に調整された身体の動かし方をしていく。適応的反応の出現は、感覚成分と運動成分が調整されることで成り立つ。

感覚の障害

  • 身体の両側を同時に動かしたり、交差して動かすことが困難
  • 姿勢を保ったり、視野を一定に保つことが困難
  • 身体、すなわち、手や足などの体の部分を正しく地図化・図式化して認識することが困難
  • 粗大運動がうまくできない(運動企画障害)
  • 粗大な空間において目標を見失う障害(視知覚障害)
  • 身体を触られることに対する強い拒否反応
  • (など)

感覚統合療法による治療

  • スイングによる前庭刺激
  • スクーターボードに乗っての姿勢保持
  • ボールプール内での身体図式の育成
  • トンネルくぐりや梯子登りでの運動企画能力の育成
  • スイングに乗って目標物に物を投げる
  • (など)

感覚統合療法の自閉スペクトラム症児への効果

1990年頃から、養護学校や特別支援学校の間で感覚統合療法ブームがあり、多くの療育施設や学校で自閉症児(ASD)、注意欠陥・多動症児(AHDH)、学習障害児(LD)に感覚統合療法が適用されました。当時はまだ理論が正しく理解されておらす、形式だけが広まっています。自閉症スペクトラム児に対して、感覚統合療法の効果を定量的に分析した研究報告は当時はあまりありませんでした。最近になり、感覚統合療法の効果が、行動や情緒、協調運動、視覚認知能力、視野運動能力に認められた報告例が増えています。

参考文献

[1] 「療育技法マニュアルー障害をもつ子どもたちへのアプローチー」、(財)神奈川県児童医療福祉財団刊行、1985年3月発行。

[2] 「自閉症スペクトラムの子どもの感覚・運動の問題への対処法」、岩永竜一郎著、東京書籍刊行、2014年月発行。

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