PECS(ペクス)とは – 自閉症の療育手法

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PECS(ペクス)の概要

PECSとは、「絵カード交換式コミュニケーション・システム(the Picture Exchange Communication System)」の略で、話し言葉によるコミュニケーションに重度の困難がある自閉症の子どものための拡大・代替コミュニケーションであり、アンディ・ボンディ(Andy Bondy)博士とロリ・フロスト(Lori Frost)氏により考案された。PECSでは、自閉症の子どもが自分の要求を相手に伝えることや、コミュニケーションの自発が重視されいる。また、その指導法は応用行動分析(ABA)と言語行動(Verval Behavior)を影響を大きく受けている。

PECSの準備

PECSを実施するには、絵カード、コミュニケーション・ブック、文バーが必要になる。絵カードは、45x45mm から 25x25mm のサイズが用いられることが多い。PECSの指導の初めは大き絵カードが使われるが、コニュニケーション・ブックに貼れる絵カードの数を多くするため、絵カードのサイズは小さくなっていく傾向にある。絵カードの裏にはマジックテープが貼られ、コミュニケーション・ブックに貼り付けた絵カードを剥がして使う。コミュニケーション・ブックは、絵カードを貼っておくためのバインダーである。使い始めはボード1枚で良いが、次第に数ページを持つようになる。コミュニケーション・ブックは絵カード・ブックと呼ばれることもある。文バー(または文章バー)は、絵カードを4枚程度貼って並べることのできる棒状のパーツであり、文章を作る時に用いる。

PECSでは指導の過程が6段階に定義されており、フェーズ1では、絵カードだけを用いる。フェーズ2で、コミュニケーション・ブックが必要になり、フェーズ4で文バーが必要になる。

PECSの学習ステップ

PECSの学習ステップは6つに分かれていて、それぞれがフェーズと呼ばれます。

フェーズⅠ コミュニケーションの自発
子どもが「絵カード」を取って、正面の人の掌にその「絵カード」を渡すことを教えます。

フェーズⅡ 絵カード使用の拡大
子どもが自分から離れた場所にある「絵カード」を取って、離れた場所にいる人の掌に「絵カード」を渡すことを教えます。

フェーズⅢ メッセージの選択
複数の絵カードが貼られているコニュニケーション・ブックから絵カードを選んで使う事を教えます。

フェーズⅣa 文構文の導入
「私が欲しいのは」、「何々」というように文構文を教えます。

フェーズⅣb 属性を使った要求の拡大
色、大きさ、形、といった属性を含めて構文を作る事を教えます。

フェーズⅤ 簡単な質問への応答
「何が欲しいの?」に答える事を教えます。

フェーズⅥ コメント
周囲にある出来事についての質問に答える事や、自発的にコメントする事を教えます。

PECSと言語行動

自閉症児に対するコミュニケーション指導法は、応用行動分析(ABA)と言語行動(VB)の影響を受けているものが多く、PECSもその一つです。スキナーの言語行動では、基本的な言語オペラントを、マンド、タクト、エコーイック、ディクテーション、テクスチュアル、トランスクリプション、員とラバーバル、オートクリティックに定義しました。

従来のトレーニングを分析すると、先習行動、エコーイック、イントラバーバル/エコーイック/タクト、イントラバーバル/タクト、タクト、イントラバーバル/エコーイック/マンド/タクト、イントラバーバル/マンド/タクト、マンド/タクト、マンドの順に教えることが典型でした。しかし、その順番は自閉症児に取っては獲得の難易度が線形ではないということがわかってきました。PECSでは、マンド/タクト、マンド、イントラバーバル/マンド、イントラバーバル/タクト、タクトの順に指導していきます。

参考文献

[1] 「行動の基礎 豊かな人間理解のために」、小野浩一著、培風館刊行、2005年5月発行。

[2] 「自閉症児と絵カードでコミュニケーション – PECSとACC -」、アンディ・ボンディ/ロリ・フロスト著、園山繁樹/竹内康二訳、二瓶社刊行、2006年7月発行。

[3] 「絵カード交換式コミュニケーション・システム トレーニング・マニュアル第2版」、ロリ・フロスト/アンディ・ボンディ著、門眞一郎監訳、ASDヴィレッジ出版刊行、2006年10月発行。

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